はじめに:なぜ「辞められるのが怖い」のか
「注意したいけど辞められたら困る」
「あの人がいないと現場が止まる」
「意見したら反発されそうで怖い」
そんな不安を抱えながら、毎日その社員の顔色をうかがっていませんか?
気づけば、いつの間にか主導権は社員の側に。社長なのに、機嫌を取る側になってしまっている。
でも――その「怖くて言えない」という状態こそ、会社を静かに壊していく一番の要因です。
怖くて何も言えないと職場で何が起きる?
実際にこれまであった事例をいくつかご紹介します。
- 問題行動がエスカレートする
注意されない人ほど、「自分は特別」と勘違いします。遅刻が増え、報告をしなくなり、勝手な判断を繰り返す。気づいた時には、「もう誰も注意できない存在」になっています。 - 真面目な社員が辞めていく
不公平ほど、人を冷めさせるものはありません。「なぜあの人だけ許されるの?」
そう感じた瞬間、優秀な社員ほど静かに転職サイトを開きます。 - 経営者が心身ともに疲弊する
社員の顔色を見て眠れず、判断が鈍り、自信を失う。気づけば、会社だけでなく自分自身が壊れていくのです。
解決の第一歩は「覚悟」
多くの経営者が、ある日こう言います。
「本当に辞めても、意外と何とかなった」
「むしろ、職場が落ち着いた」
覚悟を決めるとは、強がることではなく、現実を冷静に見て動くことです。
ステップ1:最悪のシナリオを想定する
「もし辞めたらどうなる?」を具体的に考えてみます。
- その業務、他の誰かに代行できないか?
- マニュアル化すれば回せるのでは?
- 自分が一時的にカバーできる範囲は?
ほとんどの場合、「絶対無理」ではなく「何とかなる」に変わります。
ステップ2:事実を記録する
感情ではなく、客観的な事実を書き留める。
例:
- 日時:〇月〇日
- 内容:報告なしに独断で判断
- 結果:お客様からクレーム
記録があれば、冷静に面談でき、
「あなたが悪い」ではなく「事実として困っている」と伝えられます。
ステップ3:面談で伝える
NG:「最近、態度が悪いよね!」
OK:「〇月〇日の△△の件で報告がありませんでした。結果、お客様からクレームがありました。今後は必ず事前に報告してください」
もし「じゃあ辞めます!」と言われても、こう答えてください。
「それはあなたの判断です。ただし、会社としての方針は変わりません。」
この一言が、あなたの覚悟を示します。
まとめ
「辞められるのが怖い」気持ちは痛いほどわかります。しかし、言えないことで職場も自分も壊れてしまったら本末転倒です。
実際に勇気を出して伝えた経営者たちは口をそろえて言います。
「思っていたほど大変じゃなかった」
「むしろ、職場の空気が良くなった」
恐怖は、向き合った瞬間に小さくなります。
完璧な覚悟はいりません。まずは、事実を整理し、ひとつの行動から始めてみませんか。
それが、恐怖で動けない会社を、信頼で動く会社に変える第一歩です。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。





