社労士の仕事で一番大切なこと/両方の話を聴く

はじめに:社長の話だけでは、問題は解決しない

社労士として長年、労務トラブルに関わってきて強く思うことがあります。
それは、社長の話だけを聴いていては、問題は解決しないということです。

会社からの相談は、たいてい困りごとから始まります。

  • 「社員がやる気がない」
  • 「問題社員がいる」
  • 「トラブルになりそうだ」

そんなときほど、私は必ず、現場の声も聴きます。
なぜなら、見えている景色が違うからです。

社長の景色と、社員の景色は違う

社長は言います。
「うちの社員は、言われたことしかしない」

でも社員は言います。
「何をやれば評価されるのか分からない」

社長から見た「主体性がない社員」は、
社員から見た「基準が見えない職場」だったりします。

どちらが正しいかではありません。
両方の話を聴いて初めて、本当の原因が見えます。

社労士の役割は「翻訳者」

社労士の仕事は、手続きや制度づくりだけではありません。
私はいつも、自分の役割を「翻訳」に近いと感じています。

  • 社長の言葉を、社員に伝わる形にする
  • 社員の言葉を、社長に届く形にする

立場が違うと、同じ出来事でも意味が変わります。

社長:「自主性を育てたい」
社員:「丸投げされている」と感じる。

社長:「信頼して任せている」
社員:「放置されている」と受け取る。

このズレを整えることが、社労士の重要な仕事です。

問題はだいたいつながっている

もう一つ実務で感じるのは、問題は単独ではないということです。

「社員が働かない」という相談でも、整理していくと、

  • 評価基準があいまい
  • 目標が不明確
  • フィードバックがない

という構造が見えてくることがあります。

そこを一つ直すだけで、

  • やる気が戻る
  • 離職が減る
  • 職場の空気が変わる

という変化が起きます。

人と人の間に入る仕事

社労士の仕事は、人と人の間に入る仕事です。

  • 社長は「会社を守りたい」と思い、
  • 社員は「自分を守りたい」と思う。

両方の気持ちを受け止めながら、 一緒に答えを探していく。

感情も利害もあるので、簡単ではありません。正直、しんどいときもあります。

それでも、話を聴き合い、誤解がほどけた瞬間に、「そういうことだったんですね」と、社長と社員の表情が同時にやわらぐことがあります。

あの瞬間が、この仕事のいちばんのやりがいです。

まとめ:社労士は、人と人をつなぐ仕事

制度だけでは、職場は良くなりません。

  • 両方の話を聴く
  • ズレを言葉にする
  • お互いに伝える

この橋渡しがあって、初めて前に進みます。

もし今、「なぜかうまくいかない」と感じているなら、第三者の耳を入れてみてください。

社長だけでは見えなかった景色が、きっと見えてきます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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