はじめに
本記事では、人事制度に悩む中小企業が、まず取り組むべき育成ステップ表の作り方と活用法を、実例付きでわかりやすくご紹介します。
なぜ中小企業では人事制度が機能しないのか
人事制度というと、多くの経営者がこう身構えます。
- うちはまだ小さい
- 難しそう
- 作っても使いこなせなさそう
- コンサルに頼むと高そう
そして結果的に、評価は感覚、育成は場当たり、期待は言語化されないという状態が続きます。
でも、現場では次のようなズレが起きています。
- 社長:「ここまで育ってほしい」と思っている
- 社員:「何をできるようになればいいか分からない」
このズレを埋めるために必要なのが、立派な制度ではなく「育成ステップ表」なのです。
まずはここから!人事制度は「育成ステップ表」1枚で始めよう
人事制度は、最初から完成形を目指す必要はありません。
最初にやるべきなのは、これだけです。
「この人に、将来どんなことができるようになってほしいか」を書き出すこと
おすすめは、A4・1枚の育成ステップ表です。
■基本構成(超シンプル)
- 縦軸:時期・段階
「入社〜3か月」「入社1年目」「3年目」「5年目」 - 横軸:期待する役割・できること
「業務内容」「判断力」「責任範囲」「周囲との関わり方」
📌 まずはざっくりでOKです
【実例】A4・1枚でつくる育成ステップ表
事例1:事務職(中小企業・1人目社員)
| 時期 | できるようになってほしいこと |
| 入社〜3か月 | 電話応対、簡単な書類作成、指示通りに動ける |
| 1年目 | 請求書作成を一人で完結、ミスに気づいて修正できる |
| 3年目 | 業務の優先順位を自分で判断、後輩に教えられる |
| 5年目 | 業務改善の提案、社長の意図を先読みして動ける |
📌 最重要ポイント
「完璧な文章」を目指さない。
社長の頭の中にある感覚をそのまま書きます。
手書きでOK、修正も自由。
事例2:建設業・現場作業員
| 時期 | できるようになってほしいこと |
| 入社〜半年 | 安全ルールを守れる、指示通りに作業できる |
| 1年目 | 作業の流れを理解、一人作業が一部可能 |
| 3年目 | 現場の段取りを理解、後輩のフォロー |
| 5年目 | 現場を任せられる、職人との調整役 |
📌 ポイント
安全が最優先。「できる」だけでなく、「安全にできる」を基準に。
事例3:飲食店・パートスタッフ
| 時期 | できるようになってほしいこと |
| 入社〜1か月 | 基本業務を覚える、ミスを報告できる |
| 6か月 | 忙しい時間帯でも安定して対応 |
| 1〜2年 | 新人指導、シフト調整の補助 |
| 3年 | 店舗運営の一部を任せられる |
📌 ポイント
パートでも成長が見える設計。長く働いてもらうための工夫必要
。
作って終わりにしない!育成ステップ表を活かす3つのコツ
育成ステップ表は、使ってこそ意味があります。
最低限、次の3つをセットにしてください。
① 面談で一緒に確認
「今どこにいるか」「次はどこを目指すか」を確認する。
感覚評価から脱却できます。
② 昇給・役割とつなげる
- 「ここまでできたら、〇〇を任せる」
- 「この段階に来たら、時給・月給アップ」
→ 成長が報われる仕組みになります。
③ 毎年、書き直してOK
実態に合わなければ修正してOK
→ 育成ステップ表は完成させるものではなく、育てるもの
まとめ:人は「何を目指せばいいか」が見えた瞬間に育ち始める
人事制度は、立派だから機能するわけではありません。
- 何を期待されているのか
- どこまでできれば一人前か
- 次に何を目指せばいいか
これが見えた瞬間、社員は「頑張り方」が分かります。
「人事制度はまだ早い」と感じている今こそ、始めるチャンスです。
社員の未来が見えるとき、組織の未来も動き出します。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたらお気軽にご相談ください。





