はじめに
パートが辞めると、シフト表の空白を見つめながらこう思います。
「なんで辞めちゃうんだろう…」
でも、ほとんどのパートは、怒って辞めるわけでも、突然気が変わるわけでもありません。
静かに、少しずつ、心が疲れていくのです。
・子どもの体調不良で迷惑をかけた
・忙しい日に休むのが申し訳ない
・聞きたいけど聞けない
・収入の壁を超えたくないのに、どう働けばいいかわからない
こうした「誰にも言えない不安」が積もり、ある日、限界に達します。
その不安が積もらないような仕組みをつくる。
それが、パートの定着率を左右するかもしれません。
仕組み1. シフトは「誰かの犠牲」で回さない
パートが辞めるとき、こんな声をよく聞きます。
「子どもが急に熱を出すと申し訳なくて…」
「休んだら他の人に迷惑がかかるから…」
これは、シフトが、誰かの善意で成り立っているから辛くなるのではないでしょうか。
【助け合う仕組み】
- 欠勤時の代理候補を事前に登録しておく
- 代理手当を支給し、助け合う環境にする
- シフト調整はアプリで完結させ、誰かが奔走しないようにする
- 繁忙期には手当と人数確保を前もって準備する
助け合いは、気持ちでは続きません。
仕組みがあるからこそ、安心して支え合えます。
仕組み2. 新人をひとりぼっちにしない
辞める人の多くは、最初の3ヶ月で心が折れています。
- 「聞きたいことが聞けなかった」
- 「◯◯さんは忙しそうで声がかけられなかった」
- 「誰にも覚えてもらえてない気がした」
孤独は、何よりもつらいですね。
【孤立させない仕組み】
必要なのは、優しい人ではなく、孤立させない仕組みです。
- 新人には必ずメンターを1人つける
- 週1回、10分でもいいから「雑談」の時間をつくる
- 入社初日・1週間後・1ヶ月後に必ず面談を入れる
- 困ったときの相談先を最初に伝える
「気にかけてもらえている」この感覚だけで、人は踏ん張れます。
仕組み3. 「年収の壁」を見える化する
多くのパートさんは、「働きたい気持ち」と「年収の壁」の間で不安になっています。
でも、会社側も詳しく説明できず、結局は「各自で調べてください」で終わってしまう。
【見える化する仕組み】
不安の正体は、見えないことです。だからこそ、
- 毎月の収入見込みがわかるシートを配布
- 年収の壁(所得税、社会保険)の違いを図や絵で説明
- 年末調整前に説明会を実施
- 社労士にいつでも相談できる環境を用意
こうした小さな仕組みが、パートの心を支えます。
仕組み4. 「どこまでが自分の仕事?」をなくす
曖昧な業務ほど、人を疲れさせます。
「え、それも私がやるんですか?」
「パートなのに、ここまで責任を…?」
心がついていかなくなります。
【線引きする仕組み】
必要なのは線引きです。
- 業務範囲は表を使って明確化
- 責任が増えるなら手当も増やす
- 頑張った先にどうなるのか未来を示す
曖昧さは不安を生み、明確さは安心を生みます。
仕組み5. 感謝は気持ちではなく形で伝える
「ありがとうを大切にしよう」 そのスローガンでは職場は変わりません。
パートは、誰よりも見ています。
- 誰が頑張っているか
- 誰が助けているか
- 誰が裏で支えているか
【見えていない苦労を見える化する仕組み】
- 月間MVP制度
- ありがとうカード
- 月1回の「良かったこと共有」ミーティング
感謝を形として届けることで、「ここで働いてよかった」と心から思ってもらえます。
まとめ:仕組みひとつで、人は安心して残ってくれる
パートが辞めるのは、やる気がないからではありません。
- 不安が積み重なったから
- 孤独だったから
- 限界が来るまで誰にも言えなかったからです。
だからこそ、会社がやるべきことはひとつ。
「辞めたくなる前に、不安が積もらない仕組みをつくる」こと。
大きな改革は必要ありません。小さな仕組みを一つずつ積み重ねるだけで、3ヶ月後には「辞めない会社」に変わっていきます。
あなたの職場も、人が安心して働ける場所に変わります。その第一歩は、今日です。
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。





