属人化をなくす!仕事を抱え込む社員への具体的な対応と成功事例

仕事を抱え込む人が組織にもたらすリスク

どんなに優秀な人でも、1人で仕事を抱え込み続けると、チームは弱くなります。
たとえば、こんな状況に心当たりはありませんか?

  • その人が休むと、仕事が止まる
  • 引き継ぎがうまくいかず、取引先に迷惑をかける
  • 他の社員が何をやっているのか分からない
  • ミスがあってもチェック体制がなく、改善されない

現場は回っているようで、実はギリギリです。

「属人化」は、一見するとその人の責任感の強さのように見えますが、
組織にとっては、大きなリスクになることもあります。

なぜ「仕事を教えない人」が生まれるのか

仕事を抱え込む背景には、さまざまな心理や思い込みがあります。
たとえば、

  • 「自分にしかこの仕事はできない」というプライド
  • 「人に仕事を教えると、自分の居場所がなくなる」という不安
  • 人に頼るのに抵抗があり、結果的に抱え込む
  • 過去に教えた相手が失敗した経験から「教えるより自分でやる方が早い」と感じている

こうした気持ちは理解できますが、放置していると周囲の成長も止まり、業務の効率がどんどん落ちていきます。

属人化が引き起こす具体的な問題

「仕事を教えない人」がいると、次のような問題が現れます。

  1. 仕事の効率が落ちる
    他人の視点が入らないことで、自分のやり方が絶対だと思い込み、
    改善や効率化の余地に気づきにくくなる
  2. 残業が当たり前になる
    非効率なやり方にこだわり、一人で抱え込むため、残業が慢性化します。
    それを指摘すると、「この仕事は時間がかかるのが当たり前」と正当化します。
  3. 人が育たない
    「自分さえわかっていればいい」ので、マニュアルや手順書を作らず、教えもしないので、他の社員が育たず「できる人にばかり仕事が集中する悪循環」が起こります。

結果的に、組織全体の士気や離職率に直結します。

成功事例:属人化解消で残業30%削減

ある中小企業で、こんな事例がありました。

受注業務を、ベテラン社員が一人で回していました。
その人が休むと、仕事が止まる。
周囲は「どこまで進んでいるのか」さえ分からない状態でした。

上司は危機感を持ち、やり方を変えました。

  1. 新人と必ずペアで担当させる
  2. 完璧でなくていいから、手順を書き出す
  3. 週1回、教え合いの時間を作る

最初、ベテランは嫌な顔をしました。「自分でやった方が早い」と。

でも途中から、こう変わりました。

「説明すると、自分の理解が整理される」
「書き出したら、ムダが見えた」

半年後。
繁忙期でも残業は3割減り、抱え込んでいた人が、いちばん楽になったのです。

上司・経営者がとるべき具体的対応

仕事を抱え込む人には、感覚ではなく具体的な指示で動かします。

  1. 具体的な指示で動かす
    「Aさんと一緒に担当してください」
    「その流れを手順書にしてください」
    ここまで明確に伝えます。
  2. 教え方を見ます
    きつすぎないか、突き放していないか、成長を後押ししているか。
    問題があれば、その都度フィードバックします。
  3. 改善が見られない場合は、担当変更や配置転換なども検討します。
    組織を守る判断です。
  4. 最も重要なのは評価です
    「一人で回した人」ではなく、「人を育てた人」を評価する。
    この方針を明確にして、教え合う文化をつくります。

仕組みにすると、自分も楽になる

仕事を抱えたままだと、ずっと自分が回し続けることになります。
休めないし、任せられないし、気も抜けません。

でも、やり方を共有して仕組みにすると、まず自分が楽になります。

  • 時間ができる。
  • 余裕ができる。
  • 次の仕事に手を伸ばせる。

実際、教える側になって初めて、全体の流れやムダに気づく人も多いです。

「自分だけができる仕事」より、回る仕組みを作れる人の方が、長く頼られます。

まとめ

仕事の属人化は、組織を弱らせる大きな要因です。
「教える時間がない」「面倒だから自分でやる」という気持ちは分かりますが、
今こそ変えるタイミングです。

まず一つの業務を選んで、手順書を1枚作るところから始めてみてください。
その小さな一歩が、組織を変えていきます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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