なぜ、この会社は人が残らないのか/社労士が見てきた職場の共通点

崩壊は、ある日突然やってくる

「まさか、うちが」

7人いた営業部が、3ヶ月で2人になった。
理由を聞いても、誰も本当のことは言わない。

「一身上の都合です」

でも、社長は気づいています。
何かがおかしかったことに。

社労士として、私はこうした現場を何度も見てきました。
崩れる会社には、必ず予兆と、放置された違和感があります。

崩壊は突然ですが、サインはずっと前から出ています。
多くの場合、社員は突然辞めるのではなく、「何度もサインを出した後」に辞めています。

人が辞める会社の3つの構造

1.問題を見て見ぬふりする

小さな不満、理不尽なルール、誰かの横暴。声は上がっていたのに、変わらない。

  • 「そのうち落ち着くだろう」
  • 「今は忙しいから」
  • 「大ごとにしたくない」

と先送りする。

結果、問題はしだいに膨らみ、やがて人は、黙るか、辞めるかを選びます。

2.公平感がない

  • 頑張っても評価されない人がいる
  • ミスをしても注意されない人がいる

人は「給料の額」より先に、「扱われ方の公平さ」を見ています。
えこひいきや基準のブレは、想像以上に職場の空気を壊します。

3.なんでも「ひとごと」

問題が起きても、

  • 「あの部署の問題」
  • 「本人の性格の問題」
  • 「タイミングが悪かった」

で終わる。
当事者意識のない組織では、問題は必ず再発します。

実例:「崩壊の瞬間」

ある製造業の会社で、ベテラン社員が若手を怒鳴るのが、日常になっていました。
社長も知っていましたが、「あの人がいないと回らない」と黙認していました。

半年後、若手が5人同時に退職。
その翌月、ベテランも辞めました。「やりづらくなった」と言って。

残ったのは、崩れた現場と再建コストだけでした。

崩壊は一瞬です。
でも予兆は、ずっと前から出ていました。

人が残る会社は、ここが違う

強い会社は、完璧な制度があるわけではありません。
共通しているのは、問題から逃げない姿勢です。

  • 小さな違和感を見逃さない
  • すぐ解決できなくても、向き合い続ける
  • ミスを責めるより、仕組みを直す
  • 人の感情を軽く扱わない

「すぐ直す会社」ではなく、向き合い続ける会社に、人は残ります。

ここでいう「向き合う」は、犯人探しではありません。

  • 事実を確認する
  • 背景を理解する
  • 次の一手を一緒に考える

それが改善のスタートです。

明日からできる、小さな改善

大改革はいりません。小さく、確実に始めることです。

1.心理的安全性をつくる

  • 朝礼で「昨日の良かった点」を一つ共有する
  • 部下の発言を遮らず、3秒待ってから返す
  • ミスが起きたときは「人」ではなく「仕組み」を最初に見直す

2.成長を見える化する

  • 新人には「最初の1週間でできればOKなこと」を3つだけ伝える
  • 月1回15分の1on1で、進歩を伝える

3.働き方に少しの余白をつくる

  • 週1回だけでも、出社・在宅を選べる日をつくる
  • 昼休憩を分割取得OK にする(45分+15分など、集中が切れたタイミングで)
  • 家庭の事情での早退・遅刻は、理由を深掘りせず即OKにする

「今日からできる小さな改善」こそが、社員の定着につながります。

まとめ:気づいた時点でまだ間に合う

もし読んでいて少しでも引っかかる部分があったなら、それは悪い兆候ではありません。
気づけているサインです。

問題は、早く見つけた方が軽く済みます。
一人で難しければ、第三者を入れるのも手です。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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