新人が辞める会社・育つ会社。最初の教育者がカギ

新人の未来は「最初の出会い」で決まる

新人が辞めたとき、私たちはつい、こう言ってしまいます。

「最近の若い人は根気がない」
「うちの社風に合わなかったんだろう」

でも、現場で見ていると、新人の未来は「最初に誰に教えられたか」で決まることが多いような気がします。

良い教育者に出会った新人は、こう育つ

良い教育者とは、

  • 挨拶をきちんと返してくれる
  • 分からないことを聞いても嫌な顔をしない
  • ミスをしても「一緒に考えよう」と言ってくれる

新人は、そこでこう思います。「この会社で、頑張ってみよう」と。

そして、仕事のやり方だけでなく、仕事への姿勢・人との関わり方を、その先輩から丸ごと学んでいきます。

逆に、こんな教育者に当たると…

  • 忙しそうで話しかけづらい
  • 質問すると「自分で考えて」
  • 気分にムラがあり、当たりがきつい
  • 教えることを面倒くさがる

このような教育者だと、新人は不安になります。
「ここにいて、大丈夫なのかな…」と。

やがて、相談しなくなる、自信を失う、辞める
または、同化し、同じような「扱いにくい社員」に育つ

どちらに転んでも、会社にとっては損失です。

先輩が悪いわけではない

経営者の方は、よくこう言います。
「先輩には、ちゃんと教えるように、と言っています」と。

でも、現場では教育が後回しになりがちです。

なぜか。

答えは、先輩社員の本音にあります。

  • 自分の仕事が忙しい
  • 教えても評価されない
  • 教育すると、自分の数字が落ちる
  • 自分でやった方が早い

これは、怠慢ではなく、評価の仕組みがそうさせているのです。

評価制度が「教育」を軽視する構造になっている

多くの会社で評価されるのは、次のような項目です。

  • 売上
  • 処理件数
  • 目標達成率

一方で、「新人を育てたかどうか」は、ほとんど評価されません。

それどころか、教育に時間を使うと「仕事が遅い人」「自分の数字が出せない人」と見られてしまうことさえあります。

これでは、誰も本気で教育をしなくなります。
人は、評価される行動しかしないからです。

「育てる人」を評価する会社は強い

一方で、新人を育てる人をきちんと評価する会社では、教えることが「損」ではなくなるため、はっきりとした変化が起きます。

  • 先輩が教え方を工夫し始める
  • 新人が安心して質問できる
  • 成長が早くなる
  • 定着率が上がる

教育は、善意に任せるものではなく、仕組みで守るものです。

メンター制度は「安心の保険」

さらに有効なのが、メンター制度です。

仕事を教える人とは別に、「相談できる大人」を一人つけて、次の取組をします。

  • 月1回、話を聴く
  • 困りごとを聴く
  • 不安を言葉にさせる

それだけで、新人の孤立は防げます。

ポイントは、「人を育てられる人」を選ぶことです。

まとめ:次世代を育てられる人が「人財」

新人は、会社ではなく「最初に出会った人」を見ています。

その人が、

  • どんな態度で
  • どんな言葉をかけ
  • どんな背中を見せるか

教育者の振る舞いが、経営者の意思として新人に伝わってしまいます。

今日からできることは、難しくありません。

  • 新人の教育担当を「誰でもいい」で決めない
  • 育成を評価項目に入れる
  • 教えている人を、きちんと認める

新人が育つ会社は、未来をつくれる会社です。
そしてその未来は、最初の教育者から始まっています。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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