「静かな退職」が増える職場。4人に1人が無言のSOS

佐藤の変化に、誰も気づかなかった

入社3年目の佐藤(26歳)は、最近、変わりました。
以前は会議で積極的に発言していたのに、今は最小限の受け答えしかしません。

ランチも、以前は同僚と行っていたのに、今は一人でデスクで食べています。
定時になると、すぐに帰ります。

課長の山田(45歳)は、気づいていました。
でも、仕事はちゃんとやってるし、まあいいか、とそのままにしていました。


ある日、総務の鈴木が、山田に声をかけました。

「最近の佐藤さん、辞めたいとも言わない。怒ってるわけでもない。
でも、どこか心が遠い気がしますね……」

山田は、少し考え込みました。「これが、静かな退職、ってやつか」

4人に1人が、すでにそこにいる

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、
約4人に1人(27.7%)が「職場に静かな退職者がいる」と回答しています。

仕事はするけれど、気持ちはもうそこにはない
エネルギーを抑えて働くスタイルです。

あなたの隣の席にも、静かにフェードアウトしている人がいるかもしれません。

佐藤が静かになった理由

山田は佐藤を呼んだ。
「最近元気ないけど、何かあったか?」
「……頑張っても、意味ないんで」

「どういうことだ?」

「前に改善提案したじゃないですか。何も変わらなかったですよね。
意見を言っても『そういう考え方もあるね』で終わるし。だったら、もう頑張らない方がいいかなって」

山田は、言葉が出なかった。

原因は「やる気の欠如」ではなく、「報われなさ」

頑張っても報われない時間が続くと、人は心のスイッチを省エネモードに切り替えます。
それが静かな退職の始まりです。

同じ調査では、「成長支援や正当な評価を実感している人の幸福感は高い」
という結果も出ています。

静かな退職を責めるより、報われる仕組みがあるかどうかがカギです。

「最近、元気ないね。大丈夫?」
その一言が、静かな退職を、静かな成長に変えることがあります。

社員の沈黙は怠けではありません。
「このままじゃイヤだ」という、無言のSOSです。

編集後記

実は私自身も、かつて勤務時代に「静かな退職」をしていたことがあります。

上司の何気ない一言で、「この会社にいても評価されない」と感じた瞬間がありました。
特に、“女性だから”という理由で、意見を聴こうとする姿勢も感じられなかったのです。

その経験がきっかけで、私は社労士を目指すことになりました。

そしていま、当時の“ふつふつとした悔しさ”を、
コンサルティングを通じて少しずつ回収しています。

今回の調査結果を見て、あの頃の気持ちがよみがえり、「これは伝えたい」と強く思いました。

出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ『働く人の本音調査2025 第2回』(2025年9月24日公開)
調査詳細はこちら


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「社員が静かに離れていっている気がする」
「モチベーションが下がっている。どう対応すればいいか」
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