「また、誰も何も言わない会議か……」
月曜日の朝、会議室。社長は、部下たちの顔を見渡しました。
「それじゃあ、今月の進捗を聞かせてください」
沈黙……。
誰も手を挙げません。視線は下を向いたまま。
社長は、仕方なく自分から話し始めました。「先月の売上は……」
部下たちは、黙ってメモを取っています。
30分後、会議は終わりました。
「……やってる意味あるのかな」
社長は、そう思いました。
「会議をしても、何も変わらない」
後日、社長は社労士に相談しました。
「会議をしても、誰も発言しないんです」
「どんな会議をしていますか?」
「進捗報告と、私からの指示です」
社労士は静かに言いました。
「それは、会議ではなく、社長の独演会になっていますね」
社長は、はっとしました。
「部下が主役」の会議に変えたところ…
翌月の会議。社労士のアドバイスを受けて、社長は会議のやり方を変えました。
「今日は、みんなに話してもらいます。私は聞く側です」
部下たちは、少し驚いた顔をしました。
「今月、自分がやったことを、一人ずつ話してください。
できたこと、できなかったこと、何でもいいです」
最初は戸惑っていましたが、一人が話し始めると、他の人も話し始めました。
部下が主役になる会議の5ステップ
社長は、「話す人」ではなく、「場を回す人(進行役)」に徹しました。
実践した会議のやり方は、こうです。
ステップ1:最初にゴールを決める
会議の冒頭で、これだけを伝えます。
「今日は、この1か月をどう良くするかを話し合います」
※目的が分かると、部下は「参加する」姿勢へ切り替わります。
ステップ2:各自が1か月の行動を宣言する
「自分は、今月これをやります」
内容は小さくて構いません。大切なのは、自分で決めること。
これだけで、「やらされ感」は大きく減ります。
ステップ3:「できたこと」を先に共有する
(1)次の会議では、次のことを順番に話します。
- できたこと
- できなかったこと
- なぜそうなったか
※ここでのルールは、責めない・評価しない。
(2)「できたこと」に対しては、まず認めます。
「それ、助かりました」
「いい工夫ですね」
(3)「できなかったこと」は、
「次はどうすればできそうか?」を一緒に考えます。
※この空気ができると、部下は次の会議でまた話そうと思えるようになります。
ステップ4:疑問や工夫を共有する
「これ、どうしていますか?」
「私はこうしました」
こうしたやり取りが増えてくると、会議が生きた情報交換の場になります。
そして、ここで出た工夫や疑問は、必ず議事録に残します。
これが、会社の「知恵の財産」になります。
ステップ5:上司は最後に一言だけ添える
部下の話を一通り聞いた上で、
- 視点を足す
- 考え方を整理する
- 必要なことを短く伝える
この順番だと、なぜか言葉がよく届きます。
「話を聞いてもらえた後」だからです。
最初は静か。でも、確実に変わる
最初の会議は、正直静かかもしれません。
部下も「何を言えばいいのか」「怒られないか」と探っているからです。
でも、2〜3回続けると、少しずつ変化が出てきます。
- 現場からの改善提案が増える
- 会議以外でも自発的な相談が出てくる
- 社員の表情が明るくなる
まとめ:会議は「時間」ではなく「使い方」
会議は時間の無駄だと言われがちです。
でも、それは使い方を間違えているだけです。
月1回、1時間。
- 部下の声を聞く
- まず認める
- 工夫を共有する
これを続けるだけで、1年後、組織は確実に変わります。
「会議をしても何も変わらない」と言っていた日々が嘘のように、
あなたの会社は自走し始めるはずです。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「会議をしても、誰も発言しない」「部下が主体的に動かない」
そんなときは、お気軽にご相談ください。




