その採用、本当に大丈夫?履歴書では見えない危険信号

はじめに:面接のたびに、少し不安になるあなたへ

「経歴は申し分なかったのに、現場をかき乱してしまった」
「面接では前向きだったのに、驚くほど早く辞めてしまった」

採用に関わっていれば、一度は経験する出来事ではないでしょうか。

面接は、短時間で人の人生の一部を見せてもらう場です。
本質を見抜くのは簡単ではありません。

それでも、何も考えずに臨むのと、ある視点を持って臨むのとでは、結果が大きく変わります。

今回は、「履歴書には書かれない本質を見抜くための面接の考え方」をお伝えします。

【実例】スキル重視で採用し、うまくいかなかった話

以前、ある会社で、実績も申し分ない、専門スキルも高い、そんな「文句のつけようのない人材」を採用しました。

ところが、

  • 周囲と相談せず、独断で仕事を進める
  • 指摘されると、すぐに不満を口にする
  • 本人の成果は出るが、チームの空気が悪くなる

…と、1か月も経たずに退職してしまいました。

このとき痛感しました。

  • スキルは後から身につけられる。
    でも、価値観や人との向き合い方は、簡単には変わらない。
  • 「優秀=組織に合う」とは限らない。

ここを見誤ると、採用は一気にリスクになります。

応募者の「素」を引き出す3つの深掘りポイント

ポイント① エピソードは「感情」と「判断」まで掘る

よくある質問で終わらせていませんか?

「これまでで苦労したことは?」→ のみはNG

さらに、
「そのとき、正直どんな気持ちでしたか?」→OK
「なぜ、その選択をしたのですか?」→OK

ここで見たいのは答えそのものではありません。

  1. 感情をどう扱っているか
  2. 判断の軸は何か
  3. 困難な状況でどう考える人か

行動の裏側を3段階くらい深掘ると、本音がにじみ出ます。

ポイント② あえて「準備できない質問」を投げる

用意された模範解答は、誰でも話せます。
そこでおすすめなのが、即興質問です。

(例)
「今、目の前でお客様から強いクレームを受けたら、最初に何と言いますか?」

正解を求める必要はありません。

  • 焦ったときの口調
  • 相手への視点があるか
  • 自分を守ろうとするか、相手を思うか

瞬間的な反応に、その人のが表れます。

ポイント③ 履歴書の「空白」と「選択理由」を見る

華やかな実績よりも、実は大事なのはここです。

  • なぜそのタイミングで転職したのか
  • うまくいかなかった時期をどう語るか
  • 挫折をどう意味づけているか

キャリアの選び方には、その人の価値観と再現性がはっきり出ます。

面接中に必ず見たい4つの観察ポイント

言葉以上に、態度は正直です。

  1. 具体性:「頑張った」ではなく、数字や事実が出てくるか
  2. 責任の捉え方:失敗を他人や環境のせいにしていないか
  3. チーム志向:「どんな人と働きたいか」で価値観が見える
  4. 間と姿勢:想定外の質問への反応、話を聞く態度に誠実さが出る

可能であれば、「質問役」と「観察役」の2人体制がおすすめです。
主観を減らし、判断の精度が上がります。

まとめ:採用の本質は「一緒に育てる覚悟が持てるか」

採用は、スキル選考ではありません。

自社の価値観を共有し、試行錯誤しながら一緒に成長できるか。

その視点を持つために、

  • 自社が大切にしていること
  • 一緒に働きたい人の共通点

を、事前に言語化しておくといいですね。

最後に:私の採用観

実績や肩書きより、私が最後に見るのはこれです。

  • 誠実に話しているか
  • 相手の話を尊重して聞いているか
  • 小さな約束(時間・準備)を守れているか

人として敬意を持てるかどうか。

ここが揃っていれば、意見がぶつかっても、建設的な関係は築けます。

履歴書に書かれない「誠実さの種」を見つけることが、面接官のいちばん大切な役割かもしれませんね。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたらお気軽にご相談ください。

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