Q.部下の話を聴いているつもりなのに、なぜ距離が縮まらないのですか?

【A】「聴いている時間」はあっても、部下は「受け取ってもらえた」と感じていないからかもしれません。

人は、話を「聴いてもらえた」だけでは心を開きません。
「この人は、自分の立場で受け止めてくれた」と感じたときに、距離が縮まります。

【現場】現場でよくある場面

このようなやり取り、心当たりはありませんか。

部下:「最近、業務が少しきつくて……」

上司:「うん、忙しいよね。でも今は踏ん張りどころだからさ」

部下:「……そうですね」

上司としては、

  • 話を遮っていない
  • 否定もしていない
  • 励ましたつもり

かもしれませんが、部下の中では、こう変換されています。

「結局、分かってもらえなかった」
「これ以上話しても意味がない」

このとき、距離は広がります。

【理由】なぜ「聴いているつもり」でもズレるのか

理由は、

  • 上司は「解決」しようとする
  • 部下は「理解」してほしい

この目的のズレがあるままでは、どれだけ時間を取っても、信頼は深まりません。

部下が欲しいのは、正解でもアドバイスでもなく、
「そう感じるのは、無理もないよね」という共感です。

【対応】距離が縮まる「聴き方」

次の3つだけ、意識してみてください。

① すぐにまとめない

話の途中で、「つまりこういうことだよね?」と整理したくなる気持ちを、少し我慢します。
部下はまだ、自分の中でも整理途中だからです。

② 評価を入れない

「それは大変だったね」と「でも仕方ないよね」は、まったく別物です。
後者が出たとたん、部下は「理解」ではなく、「判断」されたと感じます。

③ 結論を出さなくてもいい

「今日は聞かせてくれてありがとう」これだけで十分なこともあります。
話したあとに、部下の表情が少し軽くなっていれば、その時間は成功です。

社労士として現場を見ていて思うこと

部下が話さなくなる職場に、悪い人がいるわけではありません。

ただ、上司は「話を聞いた」と思っていても、部下は「分かってもらえなかった」と感じている。
そのすれ違いが、少しずつたまっていくだけです。

そのズレに気づける上司は、もう一歩手前まで来ています。

【まとめ】

部下が話さなくなったからといって、もう信頼関係が壊れたとは限りません。
多くの場合、それは「もう一度話していいかどうか、様子を見ている段階」です。

  • 相談がゼロになる前
  • 退職願が出る前
  • 心のシャッターが完全に閉まる前

このタイミングに気づけたなら、関係はまだ修復できます。

やることは難しくありません。

  • 解決しなくていい
  • 正しく導かなくていい
  • ただ、その気持ちを「そう感じるのは無理もない」と受け止めること

それだけで、部下はまた少しずつ話し始めます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

※職場の状況によって、適切な対応は異なります。
もし、「これはうちの職場だけの問題なのか?」「どこから整理すればいいのか分からない」と感じた場合は、一度ご相談ください。

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