はじめに:なぜ当事者意識が必要なのか
うまく回っていない組織に共通する点があります。
それは、「他人事」「当事者意識が無い」従業員が多いところです。
- 「それ、自分の仕事じゃないんで」
- 「上が決めてくれないと、何もできません」
- 「言われてないからやってない」
こんな声が日常的に聞こえる職場は、危険信号です。
現場で何かトラブルが起きても、誰も動かない。
改善点に気づいても、誰も言わない。
言ったところで、「それってあなたの仕事?」と白い目で見られる。
結果、現場は停滞し、優秀な人ほど疲弊して辞めていきます。
当事者意識がない職場で起こること
・問題が起きても「自分は関係ない」とスルーされる
・指示待ちの人ばかりでスピードが遅い
・改善提案が出ない
・責任のなすりつけ合いになる
・顧客対応に温度差が出る
一つひとつは小さなズレでも、組織全体では大きな信用低下を引き起こします。
なぜ「他人事」になってしまうのか?
実は、従業員の性格や意識の問題だけではありません。
多くの場合、組織側の仕組みや風土が「他人事」を助長しているのです。
【よくある原因】
- トップや管理職が、方向性や期待を明確に伝えていない
- 意見を言ってもスルーされたり、否定された経験がある
- 頑張っても報われない(やるだけ損)と思われている
- 「考えるな、やれ」という雰囲気がある
- 何を求められているのか、自分が何をすればいいのかがはっきりしていないので、本気になれない
当事者意識を育てる3つのアプローチ
(1)ビジョン・期待の共有
人は「何のためにやるのか」「どんな結果を期待されているのか」が明確になると、動けるようになります。
- この会社は何を大事にしているのか
- 部署として、今どんな役割を担っているのか
- あなたにどんな行動や判断を期待しているのか
こうしたメッセージを、トップが具体的な言葉で繰り返し伝えることが大切です。
(2)意見が言える場をつくる
改善の種は、現場にあります。でも、「言ったら責められるかも」「面倒だと思われそう」と思えば、誰も声を上げなくなります。
- 小さなアイデアを拾う「気づきメモ」制度
- 日報の中での「気になったこと共有」
- 定例ミーティングでの「改善1分コメント」
など、まずは言ってもいい・聞いてもらえる場をつくること。
フィードバックは否定せず、まずは「ありがとう」で受け止めましょう。
(3)成果の見える化とフィードバック
当事者意識は、「やれば評価される」「周囲に良い影響がある」と実感できてこそ育ちます。
- チームや個人の成果を見える化する
- やるべきことや目指すゴールを、定期的に見直す
- 小さな成功もきちんと言葉で伝える
など、特別な制度をつくるよりも、日常の声かけや承認の積み重ねがカギになります。
おわりに:人が育つ組織に必要な土壌
当事者意識は、根性論で引き出せるものではありません。
「あなたがいてくれて助かる」「あなたの判断が価値を生んでいる」
そう実感できる環境があってこそ、育つものです。部下をどうのこうの言う前に、まずは組織側から動きましょう。
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