【A】多くの場合、「正しさ」を出すタイミングが早すぎるからです。
正論が間違っているのではありません。
ただ、信頼関係がまだできていない状態で正論を投げてしまうと、指導ではなく、「否定」として受け取られてしまいます。
【現場】よくある場面
部下がミスを報告してきたとき、上司はこう言います。
「だから言っただろう」
「なんでこんな簡単なことができないんだ」
事実としては正しいですが、部下はこう受け止めます。
「また否定された」
「どうせ、自分はダメだと思われている」
このやり取りが続くと、部下はミスを隠し、意見を言わなくなります。
【理由】なぜ関係が悪化するのか?
社長や上司は、
- 会社を良くしたい
- 同じ失敗を繰り返してほしくない
そう思っているだけです。
でも部下は、「正しさ」よりも、
「この人は、自分の状況を分かろうとしてくれているか」を感じ取ります。
先に否定されると、そのあとの正しい話は、耳に入ってきません。
「もういいや」と思った時点で、心は閉じてしまいます。
【対応】伝わる指導、伝わらない指導
【よくあるNGの会話】
部下「すみません、ミスしてしまって……」
上司「だから言っただろう。何回同じことをやるんだ」
部下の心の中:(ああ、またこれだ)(もう、言わない方がいいかも)
【伝わり方が変わるOKの会話】
部下「すみません、ミスしてしまって……」
上司「まず、報告してくれてありがとう。どこで止まった?」
部下の心の中:(怒られなかった)(ちゃんと聞いてもらえそう)
※最初の一言で、受け取られ方がまったく変わります。
【すぐ使える言い換え集】
- 「言ってくれた行動」だけを認める
・「まず、報告してくれてありがとう」
・「言いにくかったと思うけど、ちゃんと伝えてくれて助かる」 - 否定ではなく、事実から話す
❌「なんでこんなことになったんだ」➡ ⭕「どの作業で、どこまで進んでいた?」
❌「君はいつもこうだ」➡ ⭕「今回は、この工程で止まっていたんだね」 - 進捗が遅れているとき
❌「なんでこんなに遅れてるんだ」 ➡ ⭕「どこで時間がかかってる?一緒に見てみようか」 - 同じミスが繰り返されているとき
❌「前にも言ったよね」➡ ⭕「前回と同じところで止まってるね。どうすれば防げそう?」 - 部下が言い訳っぽいことを言ってきたとき
❌「言い訳はいらない」 ➡ ⭕「状況はわかった。繰り返さないために、何を変えられそう?」
人格否定を避けつつ、責任を相手に考えさせるパターンを増やすと、より実践的になります。
それでも、うまくいかない場合
ただし、何度「ありがとう」を言っても同じミスが続き、改善の意思が見られない場合は、段階的に厳しさを上げる必要があります。
まずは「事実の確認 → 一緒に原因を考える」から始め、それでも変わらなければ「このままだとどうなるか」を明確に伝える、という順番が大切です。
まとめ
部下とうまくいかなくなる原因は、厳しさでも、正しさでもありません。
やることは3つだけです。
- まず「報告してくれてありがとう」と受け止める
- 人格ではなく、起きた「事実」だけを見る
- 正論は、相手が聞ける状態になってから出す
この順番を守るだけで、同じ指導でも、伝わり方は変わります。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
※職場の状況によって、適切な対応は異なります。
もし、「これはうちの職場だけの問題なのか?」「どこから整理すればいいのか分からない」と感じた場合は、一度ご相談ください。




