【A】なぜダメ出しでは人が育たないのか
ダメ出しは、部下にとって「指導」ではなく、「否定」や「評価」として受け取られるからです。
上司は育てたいと思っていても、部下の自尊心を傷つけ、挑戦する意欲を奪ってしまっています。
【理由】なぜダメ出しは逆効果になりやすいのか
ダメ出しにもいろいろあります。
1.人と比べるダメ出し
- 「〇〇さんはできているのに」
- 「同期はもう任されている」
このような言い方は、部下にとっては改善点よりも先に、「比べられた」「評価された」という感情だけが残ります。
結果として、反発心や諦めにつながりやすくなります。
2.自分と比べるダメ出し
- 「私の若い頃は」
- 「そんなの当たり前だ」
これは指導ではなく、上司の価値観や成功体験の押し付けとして受け取られがちです。
部下の心には、ほとんど響きません。
【現場】社労士として見てきた現場の実情
【よくある流れ】
1. 上司が「もっとちゃんとやれ」とダメ出し
↓
2. 部下は「何をどうすればいいか分からない」
↓
3. 怖くて質問できない、自分で考える余裕もない
↓
4. ミスが増える
↓
5. さらにダメ出しが増える
↓
6. 部下は「自分はダメな人間だ」と思い込む
↓
7. 優秀な人は「ここでは成長できない」と判断しさっさと辞める
残った人は萎縮して、言われたことしかやらなくなる
このようなダメ出しが続く職場では、結果として、
- 人が育たない
- 離職が続く
- のちのちパワハラ問題に発展する
という流れになることが多いです。
【対応】部下を育てたいなら、何をすればいいのか
ダメ出しの代わりに必要なのは、「できるようになるまでのプロセスを共有すること」です。
具体的には、
- まず、体系立てて教える
- 実際にやって見せる(手本になる)
- 部下にやらせてみる
- できた点を具体的に伝え褒める
- できなかった点は、「どうすればできるか」を一緒に考える
しばらくは、この繰り返しです。
遠回りに見えますが、これが最も確実な育成方法です。
【まとめ】
多くの上司が、手っ取り早い方法として「ダメ出し」を選んでしまいます。
しかし現場では、そのダメ出しが、部下の成長意欲を削いでいるというケースが少なくありません。
「なぜ人が育たないのか」と感じたときは、部下の能力ではなく、上司の関わり方そのものを一度見直してみる必要があると思います。
まず明日から試してみること
- ダメ出しの代わりに「どうすればできそう?」と質問する
- 部下がやったことの中で、できた点を1つ見つけて伝える
- 「私の若い頃は」を3日間封印してみる
小さな変化から、職場の空気は変わり始めます。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
※職場の状況によって、適切な対応は異なります。
もし、「これはうちの職場だけの問題なのか?」「どこから整理すればいいのか分からない」と感じた場合は、一度ご相談ください。


