「「静かな退職」が増える職場のリアル/4人に1人が発している“無言のSOS”」」を投稿しました20251013

えこひいき社長の心理/「辞められたら困る」が職場を壊す

はじめに:優しさから始まる特別扱い

「この部下には毎日でも会いたい」 ある社長がそう言いました。

その“特別な人”は、資格を持つパート社員。
確かに仕事はできるようですが、賞与は他の社員より明らかに多かったです。

「この人に辞められたら困るから」 社長はそうも言っていました。

悪気はありません。むしろ、“感謝と信頼の証”として特別扱いしているのです。でもその優しさが、職場全体の空気を静かに歪めていくことがあります。

よくある「えこひいき社長」の特徴

中小企業では、社長の判断が会社のルールになることも少なくありません。それが強みでもあり、同時にリスクにもなります。

「えこひいき社長」には、こんな共通点があります。

  • 感情で動く(“好き”や“信頼できる”で判断)
  • 成果より“気分”で評価してしまう
  • 特定の人に対して、異常に保護的
  • 「他の人も見ている」という意識が薄い

つまり、悪気はゼロ。だが影響は絶大。

社長が「ちょっとしたご褒美」のつもりでも、周囲には「不公平」「ひいき」「線引きのない職場」と映ってしまうのです。

「辞められたら困る」が引き起こす悪循環

特定の人に依存するほど、社長は判断を誤りやすくなります。

その人のミスには甘く、他の社員には厳しく。不満が広がっても、「だって、あの人がいなきゃ困る」と正当化してしまう。

しかし、組織は誰か一人に頼らない仕組みがあってこそ強くなります。

もし「この人が辞めたら困る」と思うなら、優遇するのではなく、分担と育成に力を入れるべきです。

特別扱いではなく、“誰が抜けても回る体制”を整える。それが本当の危機回避であり、会社を守る力になります。

社員の気持ちは意外と冷静

現場の社員は、意外なほど社長の行動を見ています。

  • 「なんであの人だけ?」
  • 「私たちも言えばもらえるの?」
  • 「あの人がいるから正直やりづらい」

こうした“静かな不満”が積み重なると、やがて会社全体の信頼が下がっていきます。特別扱いされた本人さえも、「自分だけ優遇されている」と感じて居づらくなることがあるのです。

まとめ:優しさはルールの中で発揮する

社長のえこひいきは、結局のところ「人を大切にしたい」という気持ちの表れ。でも、その思いやりを感情ベースで続けると、信頼ではなく不公平が残ります。

だからこそ、優しさはルールの中で。
感謝はお金ではなく「言葉」で。

そして、“この人が辞めたら困る”ではなく、“誰がいても安心して働ける職場”を目指すこと。

それが、長く続く会社の本当の優しさです。

執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士 竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました