賃金から勝手に控除できる?給料天引きのルール

よくある勘違い

「社員の昼食代、給料から引いてるんですが、問題ないですよね?」
山田社長は社労士に、当然のように言った。

「社長、労使協定は結んでいますか?」
「ろうし……? 何ですか、それ」

社労士は少し間を置いた。
「それがないと、たとえ食事代でも、給料から引くのは労働基準法違反になります」

山田社長の表情が、固まった。
「え、うち、ずっとやってたんですが……」

賃金は全額払いが原則

労働基準法では、賃金を守るための5つのルールがあります。
特に重要なのは「全額払いの原則」です。

労働基準法第24条(賃金支払5原則)

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」(24条1項)
「賃金は毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。」(24条2項)

これは、賃金のみで生活している労働者の生活を保障するために、使用者に賃金の支払方法を義務化したものです。

つまり、会社が理由なく一方的に差し引くことはできない、ということになります。

例外的に控除が可能な例

1.法律で定められたもの

  • 所得税、住民税
  • 健康保険料、厚生年金保険料
  • 雇用保険料

これらは法令の定めにより自動的に天引きできます

2.労使協定で合意したもの(24協定)

  • 社宅や寮の家賃
  • 組合費
  • 昼食費等

なお、「24協定」とは、労働者の代表と会社が書面で結ぶ協定のことです。
36協定のように労基署へ届出する義務はありませんが、必ず書面を残しておく必要があります。

まとめ

会社が給料からお金を引くときは、

  • 法律で決まっている控除
  • 労使協定で取り決めた控除

だけが認められます。
これ以外を勝手に差し引くと、労働基準法違反となり罰則の対象になりますので気をつけましょう。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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