好き嫌い人事が職場を壊す

はじめに:社員は「不公平」に一番敏感です

「上司が、好き嫌いで人を見ている気がする」

これは、社員アンケートで最も多く出てくる不満の一つです。

評価、昇進、シフト、仕事の割り振り。
それが感情で決まっていると、社員はすぐに気づきます。

そして、ある瞬間から、職場にこんな空気が流れ始めます。

  • 頑張っても意味がない
  • どうせ、ひいきされる人が得をする
  • この上司の下で成長できない

この空気が広がった職場は、静かに弱っていきます。

※この記事は、好き嫌い人事が「人材育成」と「職場づくり」にどのような影響を与えるのかを、
組織の構造として整理したものです。

えこひいきは「小さな違和感」から始まる

えこひいきは、最初から露骨ではありません。

たとえば、こんな場面です。

  • 同じミスでも、叱られる人とスルーされる人がいる
  • 気が弱そうな人には厳しく、気に入っている人には甘い
  • 昇進や評価の理由を、誰も説明できない

社員は、こう思います。

「基準がない」
「感情で決まっている」

この時点で、信頼は少しずつ崩れ始めています。

なぜ、えこひいきは起こるのか

多くの経営者は言います。

「うちの管理職は、そこまで露骨じゃない」

しかし、えこひいきの多くは、悪意ではなく仕組みのなさから生まれます。

  • 評価基準が曖昧
  • 管理職に公平に評価する訓練をしていない
  • 問題が起きても、注意されない

つまり、上司個人の問題ではなく、会社の構造の問題です。

えこひいきが続くと、必ず起きること

不公平な職場で、最初に疲弊するのは誰でしょうか。

答えは、真面目で、責任感のある社員です。

  • 頑張っても報われない
  • 評価が運任せに感じる
  • 努力する意味を見失う

そして、優秀な人から静かに辞めていきます。

残るのは、

  • 諦めた人
  • ひいきされている人

組織としての力は、確実に落ちていきます。

社員は「自衛」するしかない現実もある

えこひいきのある職場で、社員にできることは限られています。

  • 感情ではなく、事実で話す
  • 記録を残し、信頼できる人に相談する
  • 自分の力を磨き続ける

それでも、社員だけでは限界があります。職場を変えられるのは、経営者だけです。

経営者が今すぐできる、たった3つのこと

難しい制度改革をしなくても、まずはここからです。

① 評価の「物差し」を言葉にする

何をすれば評価されるのか。
それを、社員に説明できる状態にします。

② 管理職を「育てる側」として育てる

仕事ができる人=良い上司、ではありません。
公平に人を見る力は、教えなければ身につきません。

③ 社員の声が届く逃げ道をつくる

匿名アンケート、面談、外部相談窓口。
「言っても大丈夫」という安心感が、暴走を防ぎます。

まとめ:公平性は、最大の組織戦略です

えこひいき・好き嫌い人事は、社員のやる気を奪い、信頼を壊し、会社の未来を削ります。

逆に言えば、

  • 基準が見える
  • 説明される
  • 納得できる

この3つがあるだけで、職場は大きく変わります。

公平性は、理想論ではありません。
会社を守るための、現実的な経営判断です。

もし今、
「最近、社員の表情が暗い」
「不満は聞こえないが、活気もない」

そう感じているなら、その原因は、好き嫌いではなく“仕組み不足”かもしれません。

小さな見直しが、失いかけた信頼を取り戻す第一歩になります。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。

関連記事