仕事を教えない人の問題
仕事というのは、誰が休んでも、担当者が変わっても、
- 業務に何ら支障が出ない
- サービスの質が変わらない
ということが大前提です。
そのためには、
- サブの担当者を決める
- マニュアルや手順書を整備する
- 情報共有を日常的に行う
といった「仕組み化」が必要です。
ところが現場には、
「この仕事は私の仕事だから誰にも教えない」
「知りたかったら、見て覚えればいい」
といったスタンスの人もいます。
こうした態度は、周囲に混乱を招き、組織の健全な成長を阻みます。
理由とその影響
仕事を教えない背景には、次のような心理や状況があることが多いです。
- 「自分にしかこの仕事はできない」という思いこみ
- 「人に仕事を教えると、自分の居場所がなくなる」という不安
- 人に頼るのが苦手で、結果として抱え込んでしまった等
その結果、次のような影響が出ます。
- 仕事の効率が落ちる
他人の視点が入らないことで、自分のやり方が絶対だと思い込み、
改善や効率化の余地に気づきにくくなる - 残業が慢性化する
非効率なやり方にこだわり、一人で抱え込むため、残業が慢性化します。
それを指摘すると、「この仕事は時間がかかるのが当たり前」と正当化します。 - 人が育たない
「自分さえわかっていればいい」ので、「マニュアルや手順書を作ろう」
という発想にもならず、教えもしません。
ますます属人化が進み、組織にとって大きなリスクとなります。
対応策
仕事を教えない人には、以下のようなステップで働きかけると効果的です。
- 具体的な指示をします
「Aさんとこの業務を一緒にやってください」
「その過程で、マニュアルやチェックリストを作成してください」
といったように、やるべきことを明確に指示します。 - 次のことを注意深く観察し、振返りをします
たとえば、
・Aさんに対して、高圧的・冷淡・ミスを責める等の
言動をしていないか
・Aさんが困っているときにサポートしているか
・フィードバックを通じてAさんの成長を促しているか 等 - 改善が見られない場合は、配置転換や退職も含めた対応に進みます。
- 【最重要】「人を育てた人を評価する」という方針を示します
この方針を評価基準に落とし込み、教え合う文化を定着させていきます。
実際にあった成功事例
ある中小企業で、ベテラン社員が受注業務を一人で抱え、休むと業務が止まる
という属人化問題を抱えていました。
そこで、上司は以下のような対策をしました。
- 新人とベテランをペアで業務にあたらせる
- 手順書やマニュアルを一緒に作成させる
- 毎週「教え合いミーティング」を開き、みんなで進捗を共有する
最初はベテラン側に抵抗があったものの、
- 「説明しているうちに、自分の理解が整理され、深まった」
- 「非効率だった部分に気づいた」
という声が出るようになり、半年後には繁忙期でも業務が滞らず、
残業時間が30%削減される結果となったそうです。
自分の成長へ
部下や後輩が成長すれば、あなたにも時間的な余裕ができます。
その余裕はやがて、
- より高度な仕事へのチャレンジ
- より付加価値のある提案
- マネジメント力や経営者視点の向上
といった「自分の成長」につなげることができます。
「自分だけができる仕事」から「誰でもできる仕組み作り」に変えていくことで、
あなたは周りから信頼され、必要とされる人材になるはずです。
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