【管理職向け】部下の「言い訳」は危険サイン?ミスを責めずに伸ばす管理職の対話法

はじめに:部下が「言い訳」をする本当の理由

部下がミスをしたとき、「初めてなので」「聞いていなかったので」と説明することを「言い訳」だと感じたことはありませんか?

しかし、部下が防衛的になるのは、次のような要因があることが少なくありません。

  • 過去に感情的に叱責された経験がある
  • 十分な教育やサポートを受けられなかった
  • ミスを報告すると責められる雰囲気がある
  • 「できて当然」というプレッシャーを感じている

つまり、「言い訳」に見える反応は、職場の心理的安全性の低さのサインかもしれません。

この記事では、部下のミスを成長機会に変え、信頼関係を築くマネジメント手法をお伝えします。

心理的安全性が低いサイン

以下のような状況があれば、チームの心理的安全性が低下している可能性があります。

  1. 部下がミスを報告するとき、明らかに緊張している
  2. 小さなミスでも隠そうとする傾向がある
  3. 「わからない」「できない」と言いにくい雰囲気がある
  4. 質問や相談が極端に少ない
  5. ミスの報告が遅れがちになる
  6. イレギュラーな判断を自分でせず、すべて確認を求めてくる

これらは、部下が失敗を恐れ、自己防衛に回っているサインです。

ミスを報告しやすい環境をつくる5つのポイント

1. まず「事実確認」から始める

最初の一言で、部下は責められる場かどうかを判断します。

NG例: 「なんでこんなミスをしたんだ!」
OK例: 「何が起きたのか、状況を教えてください」

2. 背景や状況を丁寧に聞く

確認するポイント:

  • マニュアルや手順書は整備されていたか
  • 適切な研修や引き継ぎは行われていたか
  • 相談できる環境はあったか
  • イレギュラーな状況ではなかったか
  • 必要な情報は共有されていたか

「初めての業務だったので」は、教育体制の問題を示唆している可能性があります。

3. 「なぜ」を重ねる(責めずに原因を探す)

目的は犯人探しではなく、再発防止の核心を見つけることです。

(例)手順を間違えた→ マニュアルに書いていない → イレギュラー対応が未整理
   → 経験が共有される仕組みがない

このように、「なぜ」を重ねると、個人ではなく組織の課題が見えてきます。

4. 改善を「一緒に」考える

部下に「どうするつもりだ?」と問い詰めるのではなく、一緒に解決策を考えます。

良い問いかけ:

  • 「どうすれば同じミスを防げると思う?」
  • 「マニュアルに追加すべき内容はある?」
  • 「他のメンバーにも共有した方がいい情報はある?」
  • 「私(上司)としてどんなサポートができる?」

5. ミスを組織の学びに変える

個人のミスを責めて終わるのではなく、組織全体の改善につなげます。

具体的なアクション:

  • マニュアルやチェックリストの更新
  • チーム内での情報共有(個人を責めない形で)
  • 業務フローや研修内容の見直し

可能であれば、「○○さんのおかげで、この問題に気づけました」と伝えることで、ミスが成長機会になります。

フィードバックの実践方法(この順で話す)

1: 事実 →「○○という状況で合っていますか?」

2: 影響→「この結果、△△という影響が出ました」

3: 背景 →「あなたの立場からは、どんな状況でしたか?」

4: 改善→ 「次はどうすれば防げそう?」

5: 期待→ 「成長してほしいと思っています。一緒に改善していきましょう」

避けたい言動

  • 人格を否定する言葉→「だからダメなんだ」「能力がない」
  • 蒸し返し、比較、怒鳴り、晒し叱責

これらはパワハラに該当する可能性があり、部下の心理的安全性を大きく損ないます。

組織として改善すべきこと

個人の対応だけでなく、組織全体の仕組みも見直します。

  1. 教育・OJTの標準化→属人化を減らす
  2. 手順書・FAQの更新・イレギュラーも記載
  3. 相談しやすい仕組み
     →1on1、気軽に質問できるツール、「わからない」と言いやすい文化づくり
  4. 振り返り文化→ミスを責めずに改善へ
  5. 管理職の学び
     →マネジメント研修の受講、心理的安全性の理解、フィードバックスキルの向上

まとめ

部下の「言い訳」に見える反応は、心理的安全性の低下サインかもしれません。
大切なのは、ミスを責めて終わらせず、事実→背景→改善の順で対話し、学びとして残すことです。

心理的安全性の高い職場では、ミスが隠されず、改善が早く回ります。
その土台をつくるのは、管理職の姿勢と対話スキルです。

今日からできる一歩として、「最初の一言」を、感情ではなく、事実確認に変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたらお気軽にご相談ください。

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