はじめに
「給与のことは、社員同士で話さないように言っています」
…そう話す経営者は少なくありません。
しかし、多くの職場で「誰がだいたいいくらもらっているか」は、
会話や推測によって知られています。
特に、自分の給与に不満を感じている人ほど、周囲と比較しようとします。
「自分の方が働いているのに、なぜ差があるのか」
こうした疑問は、止めようとしても止まりません。
給与の話題は、隠そうとするほど、逆に疑念を生みやすいテーマです。
本当の問題は「漏れること」ではない
給与情報の管理はもちろん重要です。
しかし、職場がもめる本当の原因は、
「情報が漏れたこと」そのものではなく、
なぜその金額なのかを会社が説明できないこと にあります。
「なぜその評価なのか」
「どうすれば自分もそこに届くのか」
これを言葉で示せなければ、不満は一気に不信感へ変わります。
よくある失敗例
ある会社では、給与情報を厳重に管理していました。
しかし、ある日、一人の社員が、
「〇〇さんはいくらもらっているか知っている」と言い出し、
それが広まって、一気に不満が爆発しました。
調べてみると、給与明細を机に置きっぱなしにしていた人がいて、
それを見た人が広めたようです。
経営者は「誰が漏らしたんだ」と犯人探しをしましたが、
結局、複数の社員が退職する事態に。
問題は、「漏れたこと」ではなく、
「なぜその給与なのか」を説明できなかったことでした。
会社がすべき3つの対策
なぜ「この給与なのか?」と聞かれた際に、きちんと答えられるよう、
日頃から次の対応をしておきましょう。
- 評価の根拠を残す
感覚や印象ではなく、数値や行動事実で説明できる状態にしておきます。 - 評価の軸を共有する
何を見て評価しているのか、
たとえば「成果」「姿勢」「貢献度」といった具体的な評価軸を、
日頃から繰り返し伝えます。 - 不満を話せる場をつくる
給与の問題はお金の問題であると同時に、信頼の問題です。
相談できる窓口を明確にしておきます。
【まとめ】漏れても揺らがない状態へ
給与を完全に秘密にすることは現実的ではありません。
それよりも、
- なぜその金額なのか、が説明できる
- 比較されてもブレない基準がある
この状態をつくることが、結果的に組織を守ります。
給与制度の本質は、情報を隠すことではなく、納得できる仕組みを整えること。
そうすれば、多少の噂が広がっても、組織は簡単には揺らぎません。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
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