「君ならできる」と言われ続けた新人と、そうでなかった新人の半年後

同じ日に入社した、2人の新入社員

その年の4月、2人の新入社員が同時に入社しました。

AさんとBさん。
同じ年齢、同じ大学、同じように緊張した面持ちで初出社しました。

半年後、2人の姿は大きく違っていました。

Aさん:「君ならできる」と言われ続けた新人

Aさんの上司は、こんな人でした。

「初めてだから失敗して当然。次はもっとうまくいくよ」
「さっきの対応、良かったよ。お客さんも安心してたね」
「君ならできると思ってる。焦らなくていいから」

Aさんは、最初は不安でいっぱいでした。ミスも多かった。
でも、上司の声掛けが、少しずつ自信に変わっていきました。

「もう一度やってみよう!」
「次はもっとうまくできるかもしれない!」

半年後、Aさんは自分から提案をするようになっていました。
失敗を恐れず、挑戦する姿勢が身についていました。

Bさん:「期待外れだった」と言われた新人

Bさんの上司は、こんな人でした。

「入社したときはできると思ったんだけどな」
「なんでこんな簡単なこともできないの?」
「君、本当に大丈夫?」

Bさんも、最初は頑張ろうとしていました。
でも、何をしても否定される。できないことばかり指摘される。

やがてBさんは、こう思うようになりました。

「自分はダメなんだ」
「どうせ何をやっても怒られる」

半年後、Bさんは最低限の仕事しかしなくなっていました。
指示されたことだけをこなし、自分から動くことはなくなりました。

そして、1年を待たずに退職しました。

2人を分けたもの

2人の能力に、最初から大きな差があったわけではありません。

違ったのは、上司の言葉でした。

Aさんは「期待されている」と感じ続け、
Bさんは「見放されている」と感じ続けた。

その違いが、半年後の姿を分けました。

ピグマリオン効果とゴーレム効果

心理学では、こんな現象が知られています。

  • ピグマリオン効果:期待されることで、人は成長し、成果を出すようになる。
  • ゴーレム効果:期待されないことで、人は自信を失い、能力を発揮できなくなる。

上司の期待は、部下の成長に直接影響します。
能力の問題ではなく、環境の問題です。

「期待している」をどう伝えるか

期待は、軽く、何度も伝える方が効果的です。日常の中で、さらりと。

「さっきの対応、良かったよ」
「君ならできると思ってる」
「次はもっとうまくいくよ」

こうした言葉を、日々の中で自然に伝えます。

  1. できたことに目を向ける
    「できたこと」「成長したこと」に目を向けて声をかけます。
    小さな成長でも、認めてもらえると人は前に進めます。
  2. 失敗を責めない
    次はどうすればうまくいくと思う?」と聞きます。
    失敗を責められると、人は挑戦しなくなります。
    ×「なんでできないの?」

過剰な期待は逆効果

ただし、注意点があります。

「君に全てを任せた!期待してるぞ!」という過剰な期待は、プレッシャーになります。

大切なのは、重く大きな期待ではなく、軽く日常的な期待です。

「君ならできる」を、さらりと、何度も。
それで十分です。

経営者・管理職の方へ

部下の短所ばかりに目が行っていませんか?
「できないこと」を数えるより、「できること」「伸びしろ」に目を向けましょう。

期待は、言葉にして初めて伝わります。
心の中で思っているだけでは、部下には届きません。

今日から、一つだけ試してみましょう。
部下が何かをやり遂げたとき、「良かったよ」「君ならできると思ってた」とさらりと伝えます。

それだけで、半年後の職場の空気は変わり始めます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「部下をどう育てればいいかわからない」「管理職が部下を潰してしまっている気がする」と感じたらお気軽にご相談ください。

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