カスタマーハラスメントから従業員を守る/年金事務所の受付で学んだこと

「何時間待たせるんだ!」と怒鳴られた日

開業当初の平成20年初春の頃、
私は年金事務所で受付のアルバイトをしていました。

ちょうど「消えた年金問題」が発覚した直後で、連日、大勢の人が年金事務所に押し寄せていました。

ある日、昼休憩から戻ったばかりの私に、いきなり怒鳴ってきた中年男性がいました。

「何時間待たせるんだ!」
……私は何も答えませんでした。

あまりにしつこいので、職員を呼びました。(そのように言われていたので)

すると今度は、その職員に向かって怒鳴り始めました。

相手が何も言い返せない立場だとわかると、理不尽に強気に出てくる。そういう人が、確かに存在します。

このとき私は「無」になっていました。 感情を切り離し、機械的に対応する。
それしか方法がなかったのです。

壁に貼られた「警告」が、救いだった

しばらくして、年金事務所の壁にこんな紙が貼られました。

「暴言・威圧的な行為は、警察へ通報します」

それを見たとき、私は心の底から嬉しく思いました。
「これで少しは守られる」と。

この紙は、実際には抑止力になりました。
職員も、毅然とした対応がしやすくなったと言っていました。

今、カスタマーハラスメントは「対策すべき問題」になった

厚生労働省は現在、カスタマーハラスメント対策のためのツールを公開しています。

ファーストフード、コンビニ、飲食店、スーパー。 不特定多数の人が訪れる現場では、カスハラは日常的に起きています。

経営者がすべきこと

従業員を守るために、今日からできることがあります。

  1. 「通報します」を明示する
     店内に警告ポスターを掲示するだけで、抑止力になります。
  2. 対応マニュアルを共有する
     「どこまで我慢すべきか」の基準を明確にし、従業員が迷わないようにする。
  3. 一人で抱え込ませない
     カスハラを受けたら、すぐに上司や同僚を呼べる体制をつくる。
  4. 記録を残す
     日時・内容・対応を記録し、必要なら警察や弁護士に相談できるようにする。

「お客様は神様」ではない

理不尽な要求に耐えることが、サービスではありません。

従業員が安心して働ける環境をつくることが、結果として良いサービスにつながるのだと思います。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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