はじめに
「困っているのに、直属の上司には言えない」
そんなとき、社員は社労士に直接声を届けてくることがあります。
私自身、顧問先の社員さんから「上司には内緒にしてほしい」と相談を受けたことが何度もあります。一見ありがたいことですが、本来は会社の中で安心して相談できるのが理想です。
ではなぜ、社員は上司を飛ばして社労士に話すのでしょうか?
なぜ社員は社労士にだけ相談するのか?
社員が外部に相談する背景にはこんな気持ちがあります。
- 「上司に言っても聞いてもらえない」
- 「相談したことで評価を下げられたくない」
- 「会社の中には安心して話せる人がいない」
つまり、職場に“安心して声を出せる空気”がない ことが一番の原因です。
この状態が続くと、社員は「どうせ言っても無駄」と思い込み、不満が積もって離職やトラブル(外部機関に訴える)につながります。
経営者が今すぐできる5つの工夫
- 経営者本人が「相談しにくい存在」と自覚する
大切なのは、経営者自身が「社員は自分には直接言いづらい」と自覚することです。
特にトップダウン色が強い経営者ほど、社員は「批判と受け取られるのでは」「評価に響くのでは」と恐れて声を上げられません。 - 外部相談窓口を「正式に設置」する
・社労士 や 顧問弁護士 を「公式な相談窓口」として明文化する。
・相談者の秘密は守り、不利益は与えないことを、会社として約束する。 - 経営者へのフィードバックは「社労士が橋渡し」
「誰が言ったか」ではなく「どんな課題があるか」に焦点を当てる。 - 上司の“聴く力”を育てる
・「まず最後まで聞く」「反論より共感」を基本姿勢に。
・管理職研修が効果的。 - 社員の声を拾う「仕組み」を補助的に入れる
匿名アンケート、定期的な外部ヒアリング、意見箱など。
こうした仕組みを外部と併用することで、社員は声を出しやすくなります。
実際の会社での改善事例
- ある会社では「匿名で意見を伝えられるフォーム」を導入しました。社員は気軽に声を出せるようになり、次第に上司への相談にもつながっていきました。
- 別の会社では「月1回の1on1面談」を取り入れ、雑談の延長のように悩みを話せる環境をつくりました。結果、社労士に“駆け込み”が集中することが減り、社内で解決できるケースが増えました。
まとめ:安心できる職場は離職防止につながる
社員が社労士に直接相談してくるのは、会社の中で安心して話せないサインです。
まずは「相談しても大丈夫」という空気を経営者がつくることが何より大切。
相談ルートを整備し、上司が聴く姿勢を身につけることで、少しずつ社員の声は社内に戻ってきます。
安心して声を上げられる職場は、定着率もぐんと高まります。
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。
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