はじめに
「うちは従業員が数人だし、家族経営に近いから、就業規則なんて必要ないよ」
そう思っていませんか?
実は、「身勝手な振る舞いをする社員」や「ルールの無視」により、最も深刻なダメージを受けるのは、従業員と社長との距離感が近い小規模企業です。
当事務所への相談で最も多いのは「10人未満の会社」からの労務トラブルです。
なぜ、法律で作成義務がないはずの小規模企業にこそ、就業規則が必要なのか。
この記事では、小規模企業こそ知っておきたい「就業規則の必要性」について、社労士の視点から、その「本当の理由」を解説します。
小さな会社ほど「感情の対立」が命取りになる
従業員が3〜4人の職場では、一人でも秩序を乱す社員がいると、職場全体の雰囲気が一気に悪化します。 「少人数だから話し合えばわかる」というのは、お互いに信頼関係がある職場の話です。
いざトラブルが起きると、以下のような事態に陥ります。
- 「そんなの聞いていない」という反論
口頭での注意が「言った・言わない」の泥沼化を招きます - 「社長の気分で怒っている」という不信感
明確な基準がない指導は、社員から見れば「感情的な攻撃」と受け取られかねません - 弁護士や労働局からの指摘
トラブルが表面化した際、真っ先に聞かれるのが「就業規則にはどう書いてありますか?」です
就業規則がないことで負う「3つの大きなリスク」
社労士としては、「社員がいるなら、人数に関係なく就業規則はあった方がよい」と考えています。なぜなら、ルールがない状態で何か問題が起きた場合、次のようなリスクがあるからです。
- 会社が一方的に悪者にされる
明確な基準がないと、社員から「これは理不尽だ」「不当な扱いだ」と訴えられた際、会社側が正当性を証明できず、立場が弱くなります - 社員への指導や処分が難しくなる
身勝手な社員に対し、注意や懲戒処分を行おうとしても、根拠となるルールがなければ「根拠のない不当な処分」として、さらなるトラブル(労基署等への通報など)を招くリスクがあります - 他の優秀な社員が愛想を尽かして辞めていく
問題社員が野放しになっている職場では、真面目に働いている社員ほど「なんで私だけ我慢しなきゃいけないの」と不満を募らせ、黙って去っていきます
モデル就業規則に関する相談
お金をかけたくないからと、モデル就業規則を使って自社の就業規則を作ろうとしている会社さんの相談を受けることがたまにあります。
お話をお聴きすると、次のような危険が潜んでいるケースがほとんどです。
- 条文の意味・法律の解釈を間違えている
「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。誤った解釈で作成された規則は、いざという時に会社を守るどころか、会社を追い詰めます - 実態と合わない内容になっている
「うちはこんな制度やっていない」という条文が残っていると、それが社員からの「未払い請求」の根拠になることがあります
会社の未来を守る「攻めの就業規則」をつくる
就業規則は、会社をより良くするための「経営ツール」です。
社労士と一緒に就業規則を作ることで、次のような経営的メリットが得られます。
- 働きやすさの見える化
ルールが明確な職場は、社員に安心感を与え、人材定着に繋がります - 採用時の信頼向上
「うちは少人数だけど、ルールはしっかりしている」という姿勢は、優秀な人材への強いアピールになります
会社の未来のための先行投資として、専門家に相談しながら整備することを強くお勧めします。
最後に
就業規則は、会社と社員を守る大切な土台です。
「まだうちは早いかも」と思っていても、ちょっとした備えが大きなトラブルを防ぐことにつながります。不安なことや「これで合っているかな?」という点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
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