社員の視点と具体的な事例
社員は、「言っていることとやっていることが違う」と感じると、
上司や経営者に対して不信感を持ちやすくなります。
ここでは、実際に多くの職場で起きている典型的な事例をいくつか紹介します。
【事例①】取引先と社内で態度が180度変わる上司
取引先の前では終始にこやかで、低姿勢で接するのに、社内では突然声を荒らげて部下を叱責する。
このギャップを目の当たりにした社員は、「この人は裏表がある」「いつ機嫌を損ねるか分からない」と感じ、安心して相談ができなくなります。
結果、問題が放置されたり、離職者が続出したりする原因になります。
【事例②】朝礼では理想論、業務では真逆の行動
毎朝の会議では「社員を大切にしよう」「助け合うチームを作ろう」と繰り返し話しているのに、実際は成果や数字だけを重視し、協力や相談を軽視する上司もいます。
こうした二面性に気づいた社員は、「きれいごとばかりで実態が伴っていない」と不信感を強め、仕事に対する意欲を失っていきます。
【事例③】ルールを都合よく変える上司
ルールや方針を気分や相手によって変え、説明もなく一方的に決める上司も珍しくありません。
「この人にだけ甘い」「私には厳しい」と不公平感が募り、チーム内の不満が積み重なります。
結果として、優秀な社員ほど早く離職してしまうことがあります。
このように、態度や言葉に一貫性がない行動は、時間をかけて築いた信頼を一瞬で壊すリスクがあります。
忙しい時期と閑散期で態度が変わる上司は信頼を失う
忙しい時期には「仕上がり60点でも仕方ない」と寛容だったのに、閑散期になると急に細かいミスやクオリティを厳しく指摘し始める。。このような態度の変化は、社員に「言ってることが違う」「二重人格だ」と不満や不信感を抱かせてしまいます。
この場合、なぜ忙しい時期と閑散期で対応が変わるのかをきちんと説明し、社員が納得できる形で基準や期待値を共有することが重要です。
例えば、
- 忙しい時期は「とにかくスピード重視で動こう」と方針を示し、
- 閑散期は「品質向上やミスの防止に力を入れよう」と明確に伝えることで、
社員は状況に応じた変化を理解でき、不意の厳しい指摘にショックを受けることが減ります。
このように、態度や評価の変化には必ず「理由」が必要であり、その理由や背景をきちんと伝えることが、信頼を保つカギになります
経営者・管理職が心がけたいポイント
(1)言動に一貫性を持つ
- 厳しい決断もきちんと理由を説明する
- 一度言ったことは守る
- 日頃から誠実な態度で接する
(2)完璧より誠実を目指す
- 間違えたら素直に認めて修正する
- 立場に関係なく、相手を尊重する
このように、日頃から誠実に接するようにすることで、たとえ厳しく苦しい場面が起きても、
社員の理解を得やすくなります。
信頼関係を育てるために
「二重人格」と思われるのは、長年積み上げた信頼を一瞬で失うリスクがあります。
- 言葉と行動を一致させること。
- 小さな誠実さを積み重ねること。
この姿勢が、強く信頼されるリーダーをつくり、組織を支える土台になります。
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