はじめに
職場でカッとなる瞬間は、たいてい「大きな事件」ではありません。
- 思うように動かない部下。
- 同じミスの繰り返し。
- 忙しいタイミングでの相談。
その一つひとつが積み重なって、あるとき、心の中でこう思います。
「なんで、こんなことも分からないんだ」
声には出していなくても、その感情は、確実に態度に現れます。
感情が荒れるのは弱さではない
感情が動くこと自体は、悪いことではありません。
怒り、焦り、苛立ち、不安。
それは「真剣に仕事をしている証拠」でもあります。
問題なのは、感情が生まれることではなく、感情の正体に気づかないまま、行動してしまうことです。
怒りの正体は「不安」
現場でよくあるのは、
- このままでは回らないかもしれない
- 自分の判断が間違っていたらどうしよう
- 周囲からどう見られているのか不安
この不安が、「怒り」や「強い言葉」に姿を変えて出てきます。
でも部下から見えるのは、不安ではなく、ただの怖さです。
感情マネジメントとは、感情を「言語化」すること
感情マネジメントというと、「怒らないように我慢する」「感情を出さないようにする」と思われがちです。
でもそれは、逆効果です。
感情を押し込めるほど、別の場面で、別の形で噴き出します。
本当に必要なのは、感情を消すことではなく、言語化することです。
たとえば、
| 感情のまま | 言語化した表現 |
| ✖「なんでできないんだ」 | 〇「今、自分は焦っている」 |
| ✖「腹が立つ」 | 〇「期待していた分、落胆している」 |
| ✖「イライラする」 | 〇「今、自分は時間に追われている」 |
| ✖「むかつく」 | 〇「コントロールできないことに、無力感を感じている」 |
言葉にした瞬間、感情は「衝動」から「扱える情報」に変わります。
感情が荒れたときの「3つのルール」
感情を言語化できても、すぐに切り替えられない日は、誰にでもあります。
そんなときは、次の3つだけ意識してください。
- 感情が強いときは、即決しない
怒りや焦りを感じた直後は、指示・注意・判断をその場でしない。
「今日はここまで」「明日話そう」で一度止めます。 - 感情は、人ではなく外に出す
部下に向ける前に、メモやスマホに本音を書く。
書くだけで、感情は落ち着きます。 - 自分を責めすぎない
感情が出た=失敗ではありません。
「今日は余裕がなかったな」と事実で止めます。
感情マネジメントは、壊れないための最低限の備えです。
いちばん感情をケアすべき人は、上司自身
感情マネジメントは、部下のためのスキルではありません。
いちばん守られるべきなのは、現場で判断をし続けているあなた(上司)自身です。
感情を放置すると、人間関係が壊れます。
でもそれ以上に、自分が消耗していきます。
まとめ
感情は、敵ではありません。
無視すると暴れ、向き合うと味方になります。
もし最近、
- イライラが抜けない
- 言ったあとに後悔する
- 職場がギスギスしている
そう感じているなら、それはあなたの感情が「限界だよ」と教えてくれているサインかもしれません。
感情マネジメントとは、自分を守るための技術です。
強くなることではなく、壊れないために。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたらお気軽にご相談ください。





