「なんで私が我慢しなきゃいけないの」と思ったとき/問題社員への対処法

「どうせ何も変わらない」と思っていた

経理の高橋は、毎朝、同じことを考えながら出社していた。

隣の席の加藤は、同じミスを何度も繰り返す。
注意されても「すみません」と言うだけで、翌週にはまた同じことをする。
しかも、何かあると必ず誰かのせいにする。

周りはみんな気づいていた。でも、誰も何も言わなかった。
上司の田村も、見て見ぬふりをしていた。

(言っても無駄だろうな)高橋は、そう思って黙っていた。

静かに限界が来ていた

半年が過ぎた頃、高橋は転職サイトを開いていた。

加藤のミスをフォローするのは、いつも自分だった。それで残業が増えた。
週末も仕事のことが頭から離れなくなった。

それでも、誰も何も変えようとしない。

退職理由は「キャリアアップのため」と言うつもり。本当のことは、言えない気がしていた。

でも、ある日、同期の西村に声をかけられた。
「高橋さん、最近しんどそうだけど、大丈夫?」

一人じゃなかった

話してみると、西村も同じように感じていた。
加藤のことだけじゃなく、上司が動かないことへの不満も。

「二人で人事に話しに行かないか」と西村は言った。

高橋は、少し迷った。波風を立てたくない。浮いてしまうかもしれない。
でも、このまま辞めるのも違う気がした。

二人は、感情的な不満ではなく、事実を整理して人事に伝えました。
加藤がどんな行動をして、周囲にどんな影響が出ているか。
記録していたメモも持参しました。

職場は、少しずつ動き始めた

人事は、思ったより真剣に聞いてくれました。

すぐに大きな変化があったわけではありません。
でも、上司が加藤と面談を始めました。加藤の様子が、少しずつ変わっていきました。

高橋は、転職サイトを閉じました。

声を上げることは、波風を立てることじゃない

問題社員への対応は、上司や人事だけの仕事ではありません。
現場にいる社員だからこそ、気づけることがあります。

  • 一人で抱え込まず、同じように感じている人と一緒に声をあげる。
  • 感情ではなく事実を伝える。
  • 記録を残しておく。

それだけで、職場は動き始めることがあります。

「どうせ変わらない」とあきらめて辞める前に、一度だけ、動いてみてください。
あなたが守りたいのは、今いる職場のはずです。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士 竹内由美子
(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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