新人教育、こんな悪循環になっていませんか?
「聞かないで勝手にやるな!」
「そんなこともわからないの?」
…新人が怒られ、気まずくなり、辞めていく。
そしてまた新しい人が入り、先輩は疲れ、教える余裕がなくなる……。
そんな教育の負のループに悩んでいる会社は少なくありません。その解決のカギになるのが、「人を育てるマニュアル」です。
「マニュアル=効率」だけではもったいない
多くの職場では、マニュアル=効率化のための資料と思われています。でも、実はマニュアルこそが「人を定着させる教育ツール」に変わるのです。
なぜなら、新人は「聞きたいけど、聞けない」からです。
先輩が忙しそうで遠慮したり、やっと聞けたと思ったら「そんなことも?」と言われて落ち込む。
その繰り返しで、やがて心が離れていきます。
マニュアルは、その“心理的ハードル”を下げる道具。つまり、「新人が安心して育つ土台」になります。
よくあるマニュアルの課題
マニュアルは、効率よく仕事を進める上でとても大事なものです。
しかし、次のような課題もあります。
- 作ったまま更新されない
- 文字ばかりで読む気がしない
- 紙ファイルの奥に眠っている
これでは「宝の持ち腐れ」です。マニュアルは「使われる前提で作る」ことが大切です。
“人を育てるマニュアル”の作り方
- 見出しで流れをつくる
大・中・小見出しを使い、読むだけで流れがわかる構成に。 - 図や写真を入れる
「見てわかる」は「読んで覚える」より3倍早い。 - なぜその作業をするのか(目的)を書く
目的を知ることで、応用・判断・改善ができるように。 - 常に更新
現場の「気づき」を反映し常に改訂。
“検索できるマニュアル”に
紙よりもデータ共有が断然便利です。
- ファイルサーバーやクラウドで共有
- 「検索」で必要な箇所をすぐ表示
- どこからでもアクセス可能
「探す時間」を減らすだけでも、教育のストレスが大きく減ります。
マニュアルがもたらす5つの変化
- 無駄な作業・重複業務が見える
- 担当者が不在でも業務が止まらない
- 新人が質問する前に学べる
- 先輩が教えるストレスが減る
- 職場全体の雰囲気が穏やかになる
そう、マニュアルが人を育て、職場を守るのです。
まとめ:マニュアル=人が安心して育つ仕組み
マニュアルとは、単なる「手順書」ではありません。人が安心して働ける心理的サポートツールです。
最初の3ヶ月だけ頑張って整備すれば、その後はマニュアルが新人を育ててくれる。あなたの職場でも、そんな「人を育てるマニュアル」を作ってみませんか?
編集後記
私が企業の現場を訪問すると、「マニュアルがないから新人が辞める」よりも、「マニュアルはあるのに活かせていない」ケースが圧倒的に多いです。
マニュアルの本当の役割は、“教える人の負担を減らす”ことではなく、“教えられる人の安心を増やす”こと。そう思いながら日々サポートしています。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士 竹内由美子(中小企業の人と職場の課題を18年サポート)
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