「「静かな退職」が増える職場のリアル/4人に1人が発している“無言のSOS”」」を投稿しました20251013

マニュアルは「人が安心して育つ仕組み」/辞めない職場をつくる実践法

新人教育、こんな悪循環になっていませんか?

「聞かないで勝手にやるな!」
「そんなこともわからないの?」

…新人が怒られ、気まずくなり、辞めていく。
そしてまた新しい人が入り、先輩は疲れ、教える余裕がなくなる……。

そんな教育の負のループに悩んでいる会社は少なくありません。その解決のカギになるのが、「人を育てるマニュアル」です。

「マニュアル=効率」だけではもったいない

多くの職場では、マニュアル=効率化のための資料と思われています。でも、実はマニュアルこそが「人を定着させる教育ツール」に変わるのです。

なぜなら、新人は「聞きたいけど、聞けない」からです。

先輩が忙しそうで遠慮したり、やっと聞けたと思ったら「そんなことも?」と言われて落ち込む。
その繰り返しで、やがて心が離れていきます。

マニュアルは、その“心理的ハードル”を下げる道具。つまり、「新人が安心して育つ土台」になります。

よくあるマニュアルの課題

マニュアルは、効率よく仕事を進める上でとても大事なものです。
しかし、次のような課題もあります。

  • 作ったまま更新されない
  • 文字ばかりで読む気がしない
  • 紙ファイルの奥に眠っている

これでは「宝の持ち腐れ」です。マニュアルは「使われる前提で作る」ことが大切です。

“人を育てるマニュアル”の作り方

  1. 見出しで流れをつくる
     大・中・小見出しを使い、読むだけで流れがわかる構成に。
  2. 図や写真を入れる
     「見てわかる」は「読んで覚える」より3倍早い。
  3. なぜその作業をするのか(目的)を書く
     目的を知ることで、応用・判断・改善ができるように。
  4. 常に更新
     現場の「気づき」を反映し常に改訂。

“検索できるマニュアル”に

紙よりもデータ共有が断然便利です。

  • ファイルサーバーやクラウドで共有
  • 「検索」で必要な箇所をすぐ表示
  • どこからでもアクセス可能

「探す時間」を減らすだけでも、教育のストレスが大きく減ります。

マニュアルがもたらす5つの変化

  1. 無駄な作業・重複業務が見える
  2. 担当者が不在でも業務が止まらない
  3. 新人が質問する前に学べる
  4. 先輩が教えるストレスが減る
  5. 職場全体の雰囲気が穏やかになる

そう、マニュアルが人を育て、職場を守るのです。

まとめ:マニュアル=人が安心して育つ仕組み

マニュアルとは、単なる「手順書」ではありません。人が安心して働ける心理的サポートツールです。

最初の3ヶ月だけ頑張って整備すれば、その後はマニュアルが新人を育ててくれる。あなたの職場でも、そんな「人を育てるマニュアル」を作ってみませんか?

編集後記

私が企業の現場を訪問すると、「マニュアルがないから新人が辞める」よりも、「マニュアルはあるのに活かせていない」ケースが圧倒的に多いです。

マニュアルの本当の役割は、“教える人の負担を減らす”ことではなく、“教えられる人の安心を増やす”こと。そう思いながら日々サポートしています。

執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士 竹内由美子(中小企業の人と職場の課題を18年サポート)

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