はじめに
中小企業で人事制度を整える際、多くの経営者や管理職が見落としがちなのが「社員のリアルな声」です。
私は人事制度構築の前に、必ず社員アンケートを実施しています。すると、どの会社でもよく出てくる上司や会社への不満が、いくつか共通していることに気づきます。
この記事では、そうした社員の本音7選をご紹介するとともに、職場改善の具体策もお伝えします。ぜひ、あなたの会社の“働きがいある職場づくり”に役立ててください。
1.不公平な対応がやる気を削ぐ
上司の中には、同じミスをしたとしても、人によって対応を変える人がいます。
たとえば、
- 気が弱い社員には厳しく叱る
- お気に入りの部下には見て見ぬふり
- 逆に反抗的な部下には関わろうとしない
こうした対応のばらつきは職場に悪影響を及ぼします。
社員同士の信頼関係が崩れ、結果的に以下のような空気が蔓延します。
- 職場がギスギスする
- 助け合うことがなくなる
- 何かあると誰かのせいにする
【改善策】
管理職への教育が不可欠です。変わらなければ降格・降職の判断も視野に入れましょう。
2.会社のビジョンが見えない
優秀な社員ほど、「この会社はどこを目指しているのか」を知りたがります。会社の将来を、自分事のように考えているからでしょう。このような社員からは以下のような声がよく上がります。
- 「会社の将来の方向性がまったく見えない」
- 「行き当たりばったりなのであれば、転職を考える」
一方、何も考えていない社員からは、
- 「べつに不満はありません」
- 「わかりません」
- 「私の給与はどうなるのでしょうか?」
です。
【改善策】
社長がビジョンを語らなければ、未来をつくる人材から辞めていきます。
まずはトップが方針を明確に宣言することが最重要です。
3.評価が不透明で納得感がない
「頑張っているのに報われない」と感じる社員は多くいます。
- なぜこの給与額なのか?
- なぜこの賞与額なのか?
- 何をしたら評価されるのか?
これらの声を放置すると、社員は以下のように変化します。
- 最低限の仕事しかしなくなる
- 反発する、さぼる、徒党を組む、背任行為をするようになる
- 仕事の質の低下、ミスやクレームの増加
- 新しい仕事にチャレンジしない
【改善策】
- 評価基準を「見える化」し、どう行動すれば評価されるかを明確にする
- 最低年2回、人事評価とフィードバック面談を実施し、対話をする場を設ける
まずはここからやってみましょう。
4.属人化で現場がまわらない
「〇〇さんが休むと仕事が止まる」、この状態が慢性化している職場は要注意です。
属人化の弊害は以下の通りです。
- 顧客に迷惑がかかる
- 残業を減らすよう部下に指導しても、「無理です!」しか言わず改善されない
- 辞められたら困るのでつい甘やかし、その結果モンスター化し職場崩壊
【改善策】
- 業務の見える化:その人にしかわからないブラックボックスを廃止
- 業務の整理:無駄・不要な業務の廃止、仕事に優先順位をつける等
- 情報共有:言った言わない、業務のダブりを防ぐ
- マニュアル化・システム化:効率、生産性アップ
- 定期的なジョブローテーション:多能工化、全体的なスキルの底上げ
このような地道な努力や改善が、やる気のある部下の心に火をつけます。
そして、やる気のない部下は居づらくなって辞めていきます。
5.個人情報の管理が甘すぎる
信頼を失う最大の要因が、個人情報のずさんな扱いです。
- 給与明細を鍵のない引き出しに保管
- 給与情報を口外する担当者
- 履歴書が人事担当者の机の上に置きっぱなし
こういったことがあると、職場の秩序が一気に崩れます。
【改善策】
- 経理・人事担当は信頼できる人物を配置
- 定期的な誓約書の取得と教育を徹底
6.役職者が「肩書きだけ」になっている
部下から上司への要望として多いパターンを、いくつかご紹介します。
- 率先して行動してほしい(お手本になって!)
- 部下のサポート、フォローをきちんとしてほしい(丸投げはダメ)
- 褒める・注意するをきちんとやってほしい
【改善策】
- 就業規則に役職者の「役割」を明文化
- 評価時にその役割を果たしているかを確認
7.情報共有がされていない職場
情報共有の不足はミスや無駄を生みます。「伝えたつもり」「聞いてません」は職場をギスギスさせる大きな要因です。特に、パートやアルバイトへの情報伝達が抜けているケースが多いです。
【改善策】
- 書面や共有ツールを活用し、誰に何を伝えるか明確にする
- 「雑談」ではなく、業務の話を共有する文化づくりをする
まとめ:職場改善は「不満の把握」から始まる
この記事でご紹介した7つの不満は、どの中小企業にも起こり得ることです。
そしてその多くは、「少しの仕組み化」と「上司の意識改革」で改善できます。
あなたの会社でもまずは社員の声に耳を傾け、「制度」や「対応」を見直してみてはいかがでしょうか? 職場改善の第一歩は、“本音に向き合う勇気”から始まります。
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