現場のアンケートが教えてくれる
部下から嫌われる上司には、共通点があります。 それは「感情の扱い方」です。
人事労務のご相談を受けるとき、私は最初に従業員アンケートを行います。
そこに書かれているのは、制度の不満よりも、もっと生々しい声です。
- 上司の態度がきつい
- 話を聞いてもらえない
- 気分で言うことが変わる
会社の規模や業種が違っても、内容は似ています。
人が辞める理由は、「大切にされていない」と感じたときかもしれません。
信頼を失う些細な行為
多くの職場で最初に起きているのは、誰かが怒鳴るといったような荒っぽいことではなく、
たとえば、こんな場面です。
- 質問すると、面倒くさそうな顔をされる
- 意見を言うと、最後まで聞かずに話を遮られる
- 上司のミスなのに、謝らずに話を終わらせる
これら一つひとつは些細なことかもしれませんが、部下の心には、確実にこう残ります。
「この人は、私を尊重していない」
この小さな違和感の積み重ねが、やがて「何も言わなくなる」「期待しなくなる」状態を生み、
そして、静かに辞めていきます。
組織を壊す危険な言動
一方で、すぐに対処しなければならないケースもあります。
- 皆の前で怒鳴る
- 机を叩く
- 物を投げる
- 長時間立たせて説教を続ける
これは指導ではありません。
感情に任せた行動そのものです。
本人は「熱心に教えているつもり」かもしれませんが、恐怖と萎縮しか生みません。
そして職場には、「怒られないようにすることが最優先」という空気が広がります。
いちばん危険なのは「社長の感情」
さらに深刻なのは、こうした振る舞いをしているのが社長自身の場合です。
社長に対して、社員は基本的に従順です。
不満があっても、正面から指摘する人はほとんどいません。
その結果、
- 早々に諦めた優秀な人から先に離れる
- 残った人は顔色をうかがうだけになる
- いずれ外部トラブルに発展する
という流れを、私は何度も見てきました。
誰も止められない感情ほど、組織を壊すものはありません。
性格ではなく「仕組み」
「うちの上司は気性が荒くて…」
そうやって個人の性格で片づけてしまうと、問題は必ず繰り返します。
必要なのは、感情を仕組みでカバーすることです。
- 管理職に「感情マネジメント」を学ぶ機会をつくる
- 評価基準を明確にし、好き嫌いが入り込まないようにする
- 職場の空気を定期的に可視化する(アンケート・面談)
そして、「感情を扱えられる人」を管理職にする視点が欠かせません。
まとめ:あなたの職場は「安心できる場所」ですか?
もし今の職場が、
- 怒鳴り声が日常になっている
- 上司に本音を言えない
- 何か言うと面倒な空気になる
そんな状態であれば、それは立派な危険信号です。
同時に、もしあなた自身が上司・経営者の立場なら、知らないうちに「人が離れる原因」になっていないか、一度振り返ってみてください。
感情はなくせません。
でも、感情に振り回されない組織は、つくれます。
まずは小さなセルフチェックから。
その一歩が、職場を守ることにつながります。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたらお気軽にご相談ください。





