幹部社員の一言で、空気が変わった日
それは、定例の幹部会議のあとでした。
皆が帰り支度を始めたとき、一人の幹部社員が静かに言いました。
「社長。正直にお聞きします。この会社を、今後どうしたいのですか?」
社長は少し驚きました。「どうしたい、とは?」
「方向性です。拡大するのか、守るのか。
新しい分野に行くのか、このまま安定路線なのか。
それによって、私自身の進退も考えたいと思っています。」
部屋の空気が重くなりました。
これは、覚悟の確認でした。
幹部が見ているもの
その幹部社員は、売上も責任も背負っていました。
現場の悩みも、顧客の声も、すべて知っている立場です。
だからこそ、会社の未来が曖昧であることが、一番の不安になっていました。
「会社がどこへ向かうのか分からないまま、部下を引っ張ることはできません。」
この言葉は、重い。
未来を語れない上司のもとでは、幹部も動けないのです。
未来が見えないと、人はどうなるか
未来が曖昧な職場では、次のことが起きます。
- 挑戦が減る
- 提案が減る
- 判断が遅れる
- 指示待ちが増える
やがて、「決めない方が安全だ」と、組織は静かに守りに入ります。
そして、自分の将来を真剣に考えている人から、転職を検討し始めます。
経営者にしかできないこと
未来の地図は、完璧である必要はありません。
数字が揃っていなくてもいい。
詳細な戦略がなくてもいい。
ただ、「どちらへ向かうのか」だけは、示す必要があります。
方向さえ共有できれば、人は歩けます。
その一言は、経営者にしか出せません。
未来は自然には共有されません。語られて初めて、存在します。
組織の芯が問われる瞬間
「今後どうしたいのですか?」
この問いが出たとき、組織の芯が試されています。
未来を語れるかどうか。
その違いが、やがて人の選択を分けます。
派手な衝突はなく、静かに、熱が冷めていきます。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
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