「上司なのに、決めない」名ばかり役職者が優秀な部下を去らせた理由

実際の現場で起きていること

新規プロジェクトの進め方について決定が必要な場面で、
営業部の田中は、課長に聞きました。

「課長、この件、どうします?」
課長は言いました。「……みんなで考えよう」

「でも、期限が今週末なので……」
「様子を見よう。もう少し情報が揃ったら」

田中は、ため息をつきました。(また先送りか)

営業部では、誰もが気づいていました。
上司は、課長という肩書きはあるが、決めない。
失敗したときだけ「現場の判断だ」と逃げる。

部下たちは思っていました。

  • 「この人は、私たちを守らない」
  • 「役職手当をもらってるのに、責任を取らない」
  • 「なぜこの人が課長なのか」

信頼は、とうに崩れていました。

優秀な部下が去った

3ヶ月後。営業部のエース・木村が退職届を出しました。
退職面接の理由欄には、こう書かれていました。

「課長が決めないので、プロジェクトが前に進まない。
失敗したとき守ってくれない上司の下では、安心して挑戦できません」

社長は、ハッとしました。(これは上司の問題なのか……)

社労士からの指摘

社長は、社労士に相談しました。「優秀な社員が辞めていくんです」

社労士は聞きました。「役職者たちは、役職に相応しい行動をしていますか?」

「役職に相応しい行動?」

「決断する、矢面に立つ、部下を育てる。
そもそも、その覚悟をおもちなのでしょうか」

社労士は続けました。

「名ばかり役職者がいる職場では、優秀な人ほど静かに去ります。挑戦する人ほど諦めます。誰も上を目指さなくなるんです」

課長が変わった

社長は、営業課長を呼びました。

「役職とは『覚悟』の名前だ。
上司とは決断する人、矢面に立つ人、部下を育てる人だ。あなたにその覚悟があるのか?」

営業課長はショックを受けました。


翌週から、課長は変わり始めました。

田中に言いました。
「この件、お前に決めさせる。失敗しても、俺が責任を取る」

田中は驚きました。
そして、初めて「守ってもらえる」という感覚を覚えました。


3ヶ月後。

営業部の若手が、自分から意見を言うようになりました。
「課長、この新しい企画、やってみたいんですけど」

提案も徐々に増え始めました。

まとめ

部下は、完璧な上司を求めていません。
失敗してもいい。迷ってもいい。ただ、3つを求めています。

  1. 逃げない人
  2. 決めるときは決める人
  3. 守るときは前に立つ人

役職とは「覚悟」の名前です。
肩書きではなく、行動で。言葉ではなく、覚悟で。

職場を変えるのは、制度ではなく、その立場にいる人の自覚です。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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