「なんで私だけ?」基準がブレた瞬間、信頼は崩れた

同じ遅刻なのに、対応が違った

ある朝、佐藤が5分遅刻しました。

課長は、厳しい顔で言いました。
「佐藤、遅刻だぞ。これで今月2回目だ。次はないからな」

「すみません」

翌週、田中も5分遅刻しました。課長は、何も言いませんでした。

佐藤は、その場面を見ていました。

「なんで、田中だけ注意されないんですか?」

昼休み、佐藤は課長に聞きました。
「課長、田中さんも遅刻してましたよね。なんで何も言わなかったんですか?」

課長は少し困った顔をした。
「……田中は、普段から真面目にやってるからな」

「私も真面目にやってます」

「まあ、そうだけど……」

課長は、それ以上答えませんでした。

佐藤は、何も言わず席に戻りました。でも、心の中でこう思いました。
「結局、好き嫌いじゃないか」

人によって物差しが変わる怖さ

同じ行動に対して、相手によって対応が変わる。
これが繰り返されると、職場では次のことが起きます。

  • 信頼が崩れる
    「この上司は、公平じゃない」と思われた瞬間、信頼は消えます
  • 挑戦しなくなる
    「どうせ評価されない」「基準がわからない」と感じると、
    人は最低限の仕事しかしなくなります
  • 責任を引き受けなくなる
    「頑張っても、報われるかわからない」なら、誰も責任を取ろうとしません

えこひいきの正体は「基準の不一致」

多くの人は、「えこひいき」を感情の問題だと思っています。
でも、本当の問題は、評価の物差しが人によって変わることです。

人は、厳しさには耐えられます。
叱られても、評価が低くても、「納得できる」なら受け止められます。

しかし、同じ行動に対して、相手によって対応が変わる。
これでは、信頼は一気に崩れます。

佐藤は、それから遅刻が増えました。
真面目にやっていた自分が、バカみたいに思えました。

解決策:基準を固定する

えこひいきを防ぐには、次の3つを徹底します。

① ミス対応の基準を統一する

たとえば、

  • 初回か再発か
  • 故意か過失か
  • 業務影響の大きさ

といった判断軸を揃えます。

② 評価理由を言語化する

❌ 「彼はよくやっているから」
⭕ 「今期○○を達成し、数値目標の150%を記録したから」

感情ではなく、事実で語ります。

③ 全員に同じ基準を適用する

「田中は真面目だから」という理由で遅刻を見逃すなら、佐藤の遅刻も同じように扱う。

まとめ

えこひいきは、好き嫌いから生まれるのではありません。
基準が曖昧な組織から生まれます。

公平とは、全員を同じように扱うことではありません。
同じ基準で扱うことです。

基準を揃えれば、信頼は戻ります。揃えなければ、静かに壊れていきます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「基準が曖昧で、えこひいきが起きているかもしれない」
「どう改善すればいいかわからない」
そんなときは、お気軽にご相談ください。

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