はじめに
「また同じミスをしてしまった…」
そう思った瞬間、部下の心は萎縮し、自信が揺らぎ、次のミスを呼び込みます。
一方、上司はこう感じます。
「何度言えばわかるんだ」「やる気がないのか」
このすれ違いこそが、ミスが減らない最大の原因です。
多くの場合、部下はやる気がないのではなく、「どうすればいいのか分からない」 状態に陥っています。
ここでは、ミスが繰り返される3つの原因と、その対処法を整理します。
原因1.知識不足。「何が正しいか」がわからない
ミスを繰り返す部下は、そもそも「何が正しくて、何が間違っているのか」を理解しきれていないことがあります。
知識があいまいだと、判断の軸がぶれ、ミスを繰り返しやすくなります。
【対応のヒント】
- マニュアルを配るだけでなく「理由」まで説明する
- 小テスト・ロールプレイで知識を確認する
- 曖昧な点があれば、その場で一緒に調べる習慣をつける
「理由まで理解する知識」があって初めてミスは減ります。
原因2.経験不足。「どう進めればいいか」が見えていない
知識があっても、実践が不足していると判断力が育ちません。
特に若手は、経験そのものがまだ少ないため、初めての場面で迷いやすくなります。
【対応のヒント】
- 小さなタスクから任せ、徐々に難易度を上げる
- ミスが出ても叱責せず、原因と次の改善策を一緒に整理する
- 報告や振り返りの機会を定期的に設ける
「知識×経験=問題解決力」となり、ここで初めて「自分で考えて動ける」状態になります。
原因3.適性のミスマッチ(無理をさせていないか)
知識や経験を積ませてもなお改善しない場合、それは本人の怠慢ではなく、適性のミスマッチ かもしれません。自分に合わない仕事をずっと続けると、自信が削られ、心が疲れていきます。
【対応のヒント】
- 得意分野に合わせて業務を調整する
- 配置転換や役割変更も選択肢として検討する
- 本人の価値は「今の仕事が向いているかどうか」で決まらないことを伝える
適材適所を見つけることは、上司の大切な役割です。
最も危険なのは「叱責の連鎖」
ミス → 叱責 → 萎縮 → さらにミス → 再び叱責。
この悪循環は、部下の心を徐々に追い詰めます。
自信を失い、「自分はダメだ」「また失敗するかもしれない」と思い込み、さらなるミスを生むのです。
上司がやるべきことは、怒ることではなく、萎縮の連鎖を断ち切ることです。
まとめ:ミスは責めるものではなく学ぶ機会
ミスを繰り返す部下に必要なのは、叱責ではなく方向性です。
- 知識不足を補う
- 経験を積ませる
- 適性を見極める
この3ステップで部下は確実に成長します。
そして、ミスが減っていくのは「部下の努力」ではなく、上司の関わり方と職場の仕組みが変わった結果です。
ミスは、叱る材料ではなく、育てるチャンス。
導く姿勢こそが、上司としての力量を示すのではないでしょうか。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。






