ミスを繰り返す部下を追い詰めない。上司が知っておくべき3つの原因と対処法

「何度言えばわかるんだ」

係長の森は、部下の新入社員・吉田を前にため息をつきました。

吉田は入社して8ヶ月。同じ確認ミスを、今月だけで3回繰り返していました。
マニュアルも渡した。その都度注意もした。それでも直らない。

「やる気がないのか?」

吉田は黙って下を向きました。森には、その沈黙が反省しているように見えました。
でも翌週、また同じミスが起きました。

叱るほど、ミスが増えていった

森は、指導を強めました。ミスのたびに呼び出し、原因を問い詰める。
吉田は毎回「すみません、気をつけます」と言うだけでした。

ところが、ミスは減るどころか増えていきました。
細かいところで引っかかるようになり、以前はできていたことまで怪しくなってきた。

(なぜだ。叱れば直ると思っていたのに…)
森は、行き詰まりを感じ始めました。

社労士に相談して、気づいたこと

ある日、森は会社の顧問社労士に相談しました。

「吉田さんは、なぜミスが起きているか、自分でわかっていると思いますか?」
「……わかっていないから繰り返すんじゃないですか」
「そうです。でも、わかっていない理由は何だと思いますか?」

森は、考えたことがありませんでした。

ミスが繰り返される原因は、大きく3つあります。

  • 知識が足りていない
  • 経験が足りていない
  • その仕事が本人に合っていない

「これらのことを確認したことはありますか?」
「……注意するだけで、確認はしていなかったです」

「叱責の連鎖」が、ミスを呼び込んでいた

社労士は続けました。
「叱られた部下は萎縮する→判断力が落ちる→またミスが起きる」

「森係長がやっていたのは、その悪循環を強めることだったかもしれません」

森は、黙って聞いていました。

「吉田さんに必要なのは、叱責ではなく方向性です」

マニュアルを渡すだけでなく、なぜそのルールがあるのかを説明する
   ↓
小さなタスクから任せて、経験を積ませる
   ↓
それでも改善しないなら、今の仕事が合っていない可能性も考える

「……私、一度も考えたことがありませんでした」

森は、吉田に聞いてみた

翌日、森は吉田を呼びました。今度は、問い詰めるためではなく。

「このルール、なんでそうなっているか、わかる?」
「……正直、よくわかっていませんでした」
「そうか。じゃあ、一緒に確認しよう」

吉田の表情が、少し変わりました。

まとめ:ミスは、育てるチャンス

ミスを繰り返す部下に必要なのは、叱責ではなく方向性です。
知識が足りていないのか、経験が足りていないのか、そもそも仕事が合っていないのか。

まずそこを確認することが、上司の役割です。

ミスが減っていくのは、部下の努力だけではありません。
上司の関わり方が変わった結果です。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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