「「静かな退職」が増える職場のリアル/4人に1人が発している“無言のSOS”」」を投稿しました20251013

信頼ゼロで教育しても、人は動かない

はじめに:信頼がないまま厳しくすると、関係は壊れる

「なんでこんなこともできないんだ!」

新人や若手に強く言った翌日から、目も合わせてくれなくなった…。そんな相談を、職場でよく耳にします。

一見、指導不足のように思えますが、実は多くのケースで問題の根本は「信頼関係の欠如」です。

信頼関係ができる前に叱っても、響かない

どんなに正しいことを言っても、相手が「この人は自分を見てくれていない」と感じた瞬間、心のシャッターは閉まります。

教育の基本は、「教える」より先に「つながる」こと。

まずは「この人は自分を認めてくれている」と感じてもらうことが大切です。信頼がなければ、厳しさは届かず、ただのになります。

事例:信頼が育つ前に「期待」だけが先走ったケース

ある上司は、入社2年目の女性社員に大きな期待を寄せていました。「この子なら伸びる」と信じ、あえて厳しい指導を重ねていたのです。

ところが彼女の心の中は違っていました。
「上司としては尊敬しているけれど、人としては正直苦手」
「何をしても注意される。完璧じゃないと認めてもらえない」

そんなプレッシャーの中で働き続けたある日、彼女は突然「もう辞めたいです」と切り出しました。

上司に悪気はなく、むしろ育てたい一心でした。
しかし、信頼関係ができる前の「厳しさ」は、相手には「否定」として届くのです。

上司は後にこう振り返りました。
「もっと“期待している”と伝えればよかった」
「彼女の努力を認めるより、欠点ばかり見ていた」

人は“叱られて変わる”より、“信頼されて応えようとする”ときに最も成長します。

最初は「最低限でOK」の気持ちで見守る

教育の出発点は「完璧を求めない」ことです。まずは 「最低限の仕事をしてくれればありがたい」 くらいの気持ちで。

たとえば、

  • 出社して挨拶ができたらOK
  • 頼んだことを忘れずにやってくれたら花丸

そんな小さな成功を一緒に積み重ねるうちに、「この人の期待に応えたい」という気持ちが芽生え、行動が変わっていきます。

まとめ:厳しさは信頼の上に成り立つ

人は叱られて育つのではなく、信頼されて伸びるもの。

焦らず、もう一度振り出しに戻って、信頼を積み上げていく。それが、最も早く、そして確実に人を育てる方法です。

執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士 竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。

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