「うちの社員、バラバラすぎる」
ある日、社長の山田は、人事担当の鈴木に愚痴をこぼしました。
「鈴木、うちの社員、バラバラすぎるんだよな」
「どういうことですか?」
「優秀な奴もいれば、全然動かない奴もいる。困った奴もいる。どう育てればいいのか、わからなくなってきた」
鈴木は、社労士に相談しました。
職場には5つのタイプがいる
社労士は、山田に説明しました。「社長、職場には5つのタイプがいます」
「5つ?」
「はい。それぞれ、会社への影響がまるで違います」
社労士は、山田の会社の社員を例に挙げました。
1.いるだけの「人在」
「まず、佐藤さん。彼は『人在』です」
「人在?」
「会社に『いる』だけの人。言われたことはするが、自分からは動きません」
山田は、思い当たりました。
「佐藤、この件、どうする?」と聞いても、「どうすればいいですか?」と聞き返してきます。
【関わり方】
- 目標と期待を具体的に「言葉」で伝える
- 小さな成功体験を積ませる
- 「任せても大丈夫」と思える範囲を広げる
放っておけば一生いるだけ。でも、きっかけさえあれば「人材」に化ける原石でもあります。
2. 役立つ人「人材」
「次に、田中さん。彼は『人材』です」
田中は、営業部のベテラン。仕事を安定してこなし、組織を支える存在です。
ただし、現状維持に甘んじて、最近は新しいことに挑戦しなくなりました。
「このタイプは、安定の中で挑戦する場を与えることがカギです」
【関わり方】
- 定期的に新しい仕事を任せる
- キャリア設計を一緒に考える
- 評価制度でステップアップを促す
3.まわりを支える人「人財」
「鈴木さんは『人財』です」
「え、私ですか?」鈴木は驚きました。
「はい。鈴木さんは、成果だけでなく、周囲を明るくし、チームを動かす人です」
鈴木(32歳)は、人事担当。困っている社員がいると、すぐに声をかけます。
新人が入ると、先輩社員に「フォローしてあげて」と頼みます。
「一人いるだけで空気が変わる、まさに会社の潤滑油です」
【関わり方】
- 感謝を「言葉」と「評価」で伝える
- リーダー候補として育成プランに乗せる
- 周囲へのサポート力を「評価」に反映する
正当に評価しなければ燃え尽きてしまうタイプ。裏方ほど、丁寧に光を当てましょう。
4.未来をつくる人「人財(宝)」
「木村さんは『人財(宝)』です」
木村(38歳)は、新規事業部のリーダー。リーダーシップを発揮し、未来を切り開く存在です。
新しい挑戦を恐れず、会社の可能性を広げてくれます。
「このタイプは、いちばん大切にすべきです」
【関わり方】
- 思い切って裁量を与える
- 投資と信頼をセットで示す
- 失敗しても、会社で守るという姿勢を見せる
育てるには時間も投資も必要ですが、いちばん大切にすべきタイプです。
5.困った人「人罪」
「最後に、山本さん。彼は『人罪』です」
山田は、苦い顔をしました。
山本(45歳)は、製造部の古株。遅刻・早退が多く、仕事の質も低い。
それだけでなく、他の社員の悪口を言い、職場の士気を下げています。
「このタイプは、放置すれば、優秀な人財ほど辞めていきます」
【関わり方】
- 早期にサインをキャッチする
- 具体的な改善点を指導する
- 必要なら配置転換や退職を含めた対応を検討する
甘い対応はリスク管理の怠慢で「組織全体の損失」につながります。
社長の山田が変えたこと、そして1年後
それから、山田はタイプ別に関わり方を変えました。
佐藤(人在)には:
「佐藤、この件、お前に任せる。〇〇までにやってくれ」と具体的に伝えました。
田中(人材)には:
「田中、新規プロジェクトのリーダー、やってみないか?」と新しい挑戦を任せました。
鈴木(人財)には:
「鈴木、いつもありがとう。お前がいるから、みんな安心して働けてる」と感謝を伝えました。
木村(人財・宝)には:
「木村、新規事業、全部任せる。失敗しても俺が責任取るから」と裁量を与えました。
山本(人罪)には:
「山本、遅刻が月に5回、仕事の質も基準を下回っている。このままでは評価も下がるし、配置転換も検討せざるを得ない。まずは改善に取り組んでほしい」とはっきり伝えました。
1年後、会社が変わった
1年後。
- 佐藤は、自分から提案するようになりました。
- 田中は、新規プロジェクトで成果を出しました。
- 鈴木は、リーダー候補として育成プランに乗りました。
- 木村は、新規事業で大きな成果を出しました。
- 山本は、退職しました。
まとめ:タイプごとに「どう育てるか」がカギ
同じ「人」でも、会社に与える影響はこれだけ違います。
- 「人在」は小さなきっかけで「人材」になる
- 「人材」は挑戦の機会で「人財」に育つ
- 「人財(宝)」は未来を担う大切な存在
- 「人罪」は早期発見・早期対応が鉄則
あなたの会社には、どのタイプが多いでしょうか?
「タイプに合わせた関わり方」を変えると、組織は早く変わります。
そのために、まずは現状を見直してみることから始めてみませんか。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「社員のタイプがバラバラで、どう育てればいいかわからない」
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