― パワハラが最多、働き方の歪みが浮き彫りに ―
連合(日本労働組合総連合会)がまとめた「なんでも労働相談ホットライン(電話相談)」の最新集計(2025年8月)によると、依然として職場の人間関係や雇用契約をめぐるトラブルが多く寄せられました。
電話相談ランキング(921件中)
- 「パワハラ・嫌がらせ」19.9%
- 「雇用契約・就業規則」9.6%
- 「解雇・退職強要・契約打切」8.8%
- 「退職手続」6.9%
- 「賃金関係その他」5.2%
最多は「パワハラ・嫌がらせ」。
かつての「解雇」中心から、「人間関係」や「心理的プレッシャー」に関する相談が主流になっています。
業種別ランキング
- 「サービス業(他に分類されないもの)」21.4%
- 「医療・福祉」20.5%
- 「製造業」12.0%
- 「卸売・小売業」9.8%
- 「運輸業」8.7%
サービス・医療・福祉業界では、人手不足に加えて人間関係や勤務シフトなどのストレスが重なり、相談件数が高止まりしています。
相談者の特徴
- 男女比はほぼ半々(男性46%・女性53.4%)
- 年代別では40~50代が中心
- 雇用形態では正社員が約半数、次いでパートタイマー
現場の責任を担う中堅層からの相談が目立ちます。「注意する側」も「される側」も疲弊している構図が浮かび上がります。
メール相談の傾向(117件)
メール相談でも上位は「パワハラ」「雇用契約」が中心。
特に20〜30代の相談が多く、「声を出しにくい若年層」が、匿名性のあるメールで悩みを打ち明けている様子が見られます。
職場の空気や上下関係が、若手の相談行動に影響していることがうかがえます。
社労士の視点から
私が開業した当初(約18年前)の労働相談ナンバー1は「解雇」でした。しかし今は、辞めさせるよりも辞めたくなる職場が増えています。
「パワハラ」「人間関係の悪化」「放置される不満」は、単なる感情問題ではなく、組織のマネジメント構造の問題です。放置すれば、退職・求人難・評判低下へとつながります。
まとめ
- トラブルの主因は「人間関係」と「契約のあいまいさ」
- 対策は「ルールの明文化」と「相談できる風土づくり」
社員の声に早く気づき、仕組みで支える。それこそが、トラブルを防ぎ、社員が定着する職場づくりの第一歩です。
※出典:日本労働組合総連合会(連合)「なんでも労働相談ホットライン」2025年8月集計
(電話相談・メール相談データをもとに社労士竹内が整理)
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