はじめに
前回は、社員の信頼を一瞬で失わせる「個人情報の雑な扱い」という見えないリスクについてお伝えしました。➡上司への不満⑤ 個人情報が雑に扱われる職場で、人は安心して働けない
今回は、肩書きだけで中身が伴わない「名ばかり役職者」が、職場の士気と組織力をむしばむ問題を掘り下げます。
部下は上司の姿を見抜いています
人事制度の構築前に行うアンケートでは、毎回のように「役職者のあり方」への不満が寄せられます。
その多くが、「肩書きだけの上司」への失望です。
現場の声:「その肩書き、意味ありますか?」
- 「上司なのに、やっていることは私たちと変わらない」
- 「決断も責任も取らないのに、手当だけはついている」
- 「あの人が上に立っていて、この先本当に大丈夫なのか…」
こうした声は珍しくありません。
部下は、役職に見合う仕事をしていない上司には、敬意も信頼も持てなくなるのです。
原因:役職の「中身」が定義されていない
就業規則には「役職名」と「手当額」が書かれていても、具体的な役割や責任が明記されていないケースが多く見られます。
たとえば部長なら、
- 社長の代行
- 部の統括
- 予算管理
- 課長の育成
といった役職ごとの責任範囲を明文化する必要があります。
役割を明確にすれば、「役職者としての役割を果たしているか?」を評価しやすくなり、本人の自覚も促せます。
放置のリスク:組織は静かに形骸化する
役職者がその立場にふさわしい働きをしていないと、職場は次第にこうなります。
- 部下は不公平感と不信感を抱く
- 部下の支持を失い、現場の統率が取れなくなる
- 誰もリーダーになりたがらず、人が育たない
- 組織が停滞し、成長が止まる
「肩書きだけの上司」がいる職場は、じわじわと力を失っていくのです。
解決策:「役職の定義」を見直そう
- 役職ごとの役割・期待値を明文化し、就業規則や評価制度に反映する
- 「役職者としての行動ができているか」を評価基準の中心に据える
- 定期的な面談やフィードバックで、意識のズレを修正する
こうした整備は、役職者の自覚を促すだけでなく、「なぜこの人が上司なのか?」という納得感にもつながります。
部下が求める「本物の上司」の姿
アンケートで多くの部下が求めるのは、次のような姿です。
(1)率先垂範する人
「上司がやらないことを、なぜ私が?」
口先だけではなく、行動で示してほしい。
(2)丸投げせず、しっかりフォローする人
指示を出すだけで放置、失敗すると部下の責任。
そんな「上司という名の傍観者」に、部下はうんざりしています。
(3)きちんと褒め、必要なら指摘する人
「自分の仕事は評価されているのか?」
曖昧な対応では、やる気も成長意欲も失われます。
⑷規律を乱す人には毅然と対応する人
ルールを守らない人に何も言わない上司は、「公平さ」を欠き、職場の信頼と秩序を壊します。
部下が上司に期待しているのは、責任・判断・行動・育成・規律を担う覚悟あるリーダーです。
まとめ:「役職手当」は、責任と覚悟への報酬
役職とは、肩書きや座る席のことではありません。「責任を引き受け、組織を導く」という覚悟そのものです。
部下は、上司の行動を見ています。
責任を果たそうとする姿勢こそが、信頼と尊敬を生みます。
おわりに:役職者の自覚が、職場を変える
役職はゴールではなく、スタートです。
その立場にふさわしい行動を積み重ねてこそ、真のリーダーになれなます。そしてその姿勢こそが、職場の空気を変え、組織を成長させる力になります。
次回予告(最終回)
次回は、職場における「情報共有の重要性」と、それが欠けていることによる弊害について、実際の不満の声を交えてご紹介します
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