はじめに
「はじめて人を雇う」シリーズ第5回は、「休憩時間の扱い方」について解説します。
これまでの記事で、雇用契約、保険、労働時間、休日などを取り上げてきましたが、実は「休憩時間」も労働法に明確なルールがあり、違反すれば未払い賃金トラブルにつながりかねない要注意ポイントです。
特に小規模企業や現場業務の多い業種では、感覚的に運用してしまいがちなため、法律とのギャップが起こりやすい分野でもあります。
法律で定められた「休憩時間」の基本ルール
労働基準法では、勤務時間に応じて以下の最低限の休憩時間が定められています。
- 労働時間が6時間を超える場合→ 休憩45分以上
- 労働時間が8時間を超える場合→ 休憩60分以上
そのほかにも、
- 休憩時間は、みんな一斉に与える。
ただし、商業、接客娯楽業等の一部の業種や労使協定を結んだ場合は除きます - 休憩時間は自由に利用
- 休憩時間は労働時間の途中に与える
という法的なルールがあります。
よくある間違いと注意点
実際の現場では、以下のような運用ミスが起こりやすいです。
❌ 電話番をしながらの休憩
❌ 休憩中でもお客様が来たら対応してもらう
これらのことを指示していると、その時間は休憩ではなく労働時間と見なされます。結果として、未払い賃金の対象になる恐れがあります。
現場で休憩が取りにくいときの工夫
業種によっては、決まった時間に休憩を取りづらいケースもあります。
その場合でも、以下のような工夫で、しっかり休める環境づくりが可能です。
- 休憩を 分割して与える
- 管理者が 業務の段取りを調整する
- 「〇時までは休憩してきて」と 声かけして促す
このような配慮を行うことで、従業員からも「しっかり休めて働きやすい」という声が上がることが多くなります。
なぜ休憩が重要なのか?
休憩の目的は、前半の疲れを回復させ、後半も安全かつ効率的に働いてもらうためです。
きちんとした休憩管理は、労働災害の防止、集中力の維持、そして職場の信頼にもつながります。
次回予告
次回は「年次有給休暇」について解説します。
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