複数法人の代表や取締役を兼務している場合の社会保険の注意点

はじめに

複数の会社を経営している社長さんで、こんなケースはありませんか?

  • A法人で代表取締役として報酬を受けている
  • B法人でも代表取締役や常勤取締役として報酬を受けている

このように、2つ以上の法人で報酬を得ている場合、原則として両方の会社で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。

よくある誤解:「1社で入ってるから大丈夫」はNG

「A社で社会保険に入っているから、B社では入らなくていい」と思っていませんか?

これは間違いで、A社、B社の両方で社会保険に加入して、両方の報酬を合算した社会保険料を支払うことになります。

放置するとどうなる?

加入漏れが後から発覚すると、最大で2年分さかのぼって保険料が請求される可能性があります。

とくに最近は、次のケースが増えています。

  • 税務申告書や法人決算書から“兼務”が見つかる
  • 算定基礎届や調査の際に“他法人の報酬”が判明する

「知らなかった」では済まないのが、法律の怖いところです。

保険証は1枚だけ

複数法人で加入していても、健康保険証は1枚になります。
発行元の法人(A社またはB社)は選べますので、どちらかで発行の手続きをしてください。

最後に

特に要注意なのは「算定基礎届」の時期です。
この時期は、年金事務所が目を光らせているそうです(とある職員に聞きました)。

複数法人を経営している方は、社会保険の加入状況が適正か、今一度チェックすることをおすすめします。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
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