「職場の悩み=人間関係の悩み? 社労士が分析する検索データと実感のズレ」を投稿しました20251017

基本給の決め方/社員のやる気と定着を左右する「会社の顔」

はじめに

「うちの基本給、これでいいのかな?」
経営者なら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

法的には、最低賃金以上であれば問題ありません。でも、現実はそれだけでは済みません。
なぜなら、

  • 「うち、給料安いから辞めます」
  • 「この会社、給料が他の会社より安いから、応募するのやめます」

この一言で、採用も定着も一瞬で崩れてしまうことがあるからです。

求職者が見ているのは「数字」だけではない

「求人を出しても応募が来ない」
「面接で良い人材を見つけても辞退される」

そんな会社に共通しているのは、基本給の設計があいまいなことです。

求職者が重視する条件は、アンケートでもほぼ共通しています。

  • 給与や休日が少しでも多い
  • 残業が少ない
  • 有給休暇が取りやすい
  • 休みやすい雰囲気(特にパート・アルバイト)

そしてもう一つ大きいのが、「安心感」です。

  • 小さい会社よりは大きい会社
  • 新しい会社よりは歴史のある会社
  • 退職金よりも「今の給与が高い会社」

つまり「長く安心して働けるかどうか」を、給与から判断しているのです。

基本給の設計=会社の約束

基本給をどう決めるかは、会社の価値観と方向性を映す鏡です。「どんな人に、どんな貢献を期待しているか」。

たとえば、

  • 新人には「育つ期待」を込めて
  • ベテランには「支える力」を評価して
  • 管理職には「成果と責任」を明確に

このように役割に応じて段階的に設計すると、社員も将来をイメージしやすくなります。

「入社後の給与の伸び」こそ最大の差別化

無事入社しても、その後の給与がずっと横ばいではモチベーションは続きません。「ここでは頑張っても上がらない」と思われた瞬間、人は離れていきます。

逆に、

  • 「努力すれば上がる」
  • 「自分の成長を見てくれている」

と感じられる会社は、驚くほど定着します。

基本給の設計は、採用対策だけでなく“辞めない会社づくり”の第一歩なのです。

まとめ

  • 給与は最低賃金だけではなく、世間相場+会社の価値観で決める
  • 給与は「期待と成長のメッセージ」
  • 上がらない給与は「静かな退職」の引き金になる

基本給の決め方は、会社が社員に伝える「無言のメッセージ」。そのメッセージをどう設計するかが、職場の未来を決めます。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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