「仲が良い職場」が、静かに弱っていく理由

「うちは、みんな仲がいいんですよ」

社長の山田(58歳)は、誇らしげに言いました。

「それは良いですね」

私(社労士)が答えると、山田は続けました。

「就活生にも『アットホームな職場です』ってアピールしてるんです。
実際、みんな仲良くやってますよ」

確かに、職場を見渡すと、和気あいあいとしています。
休憩室からは笑い声が聞こえ、社員同士が楽しそうに話しています。

でも、よく観察すると、違和感がありました。

「仲が良い」の裏側

後日、山田から相談がありました。
「最近、ミスが多いんです。でも、原因を聞いても『すみません、気をつけます』で終わってしまって……」

「注意はしていますか?」

「それが……みんな仲が良いから、強く言いにくくて」

山田は困った顔をしました。

「それに、総務の鈴木が『有休残ってるから全部使っちゃいなよ』って軽く言うんです。
繁忙期なのに」

「注意しましたか?」

「できないんです。鈴木は古株で、みんなから慕われているから」

「なあなあ」は、組織を弱らせる

私は言いました。
「社長、『仲が良い』と『なあなあ』は、違います」

山田は黙って聞いていました。

「仲が良い職場は、信頼し合い、協力して成果を出します。
でも、なあなあの職場は、遠慮し合い、問題を放置します」

「うちは、なあなあなんでしょうか」

「はい。そう見えます」

なあなあの職場で起きること

私は続けました。
「なあなあの職場では、こんなことが起きます」

  • ルールが守られない
  • ミスが改善されない
  • 真面目な人が損をする
  • 優秀な人から辞めていく

「そして、組織は静かに弱っていきます」

山田は、深くため息をつきました。
「確かに、最近、真面目な若手が辞めました。
理由を聞いても『一身上の都合』としか言わなくて」

本当に「仲が良い職場」とは

「社長、本当に仲が良い職場は、こういう状態です」

  • 必要なときには、遠慮なく意見を伝えられる
    「言いにくいこと」を言えるのが、信頼関係です。
  • お互いに目標を持ち、自己研鑽する
    ただ一緒にいるだけでなく、共に成長を目指す。
  • 協力して成果を出す
    一致団結して課題に向き合える。

「今の職場は、どうですか?」

山田は、答えられませんでした。

「なあなあ」を「組織の力」に変える3つの方法

① ルールを明確にし、守らせる

「遅刻は遅刻」「休憩時間は守る」
当たり前のことを、当たり前に守らせる。それが第一歩です。

② 評価と面談で、率直に伝える

「言いにくいこと」を放置せず、評価や面談の場で伝えます。
曖昧な「頑張ってるね」ではなく、「ここを改善してほしい」と具体的に。

③ 月一会議で、目標と成果を共有する

全員が役割と目標を共有し、成果や課題を振り返る。
この習慣が、「なあなあ」を「協力」に変えます。

まとめ

「仲が良い職場」は、理想です。
でも、「なあなあ職場」は、リスクです。

  • ルールが守られない
  • 問題が放置される
  • 真面目な人が辞める

そうなる前に、今一度、職場を見直してみましょう。

「うちの職場は、本当の意味で、仲が良いのだろうか?」
「何か変えるべきことはないだろうか?」

その問いが、改善の第一歩です。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

「仲は良いけど、生産性が上がらない」「注意できる雰囲気がない」
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