はじめに
「業績が厳しいから…」「あの社員の働きぶりがイマイチだから」
そんな気持ちから、つい“給料を下げたい”と思ったことはありませんか?
社長さんのお考えや事情は、私もよく理解できます。
でもその一方で、従業員にとって基本給は「生活の土台」であり、「約束された信頼」そのもの。
それを一方的に減らされたら、心の支えを失ったように感じてしまうのです。
勝手に賃下げするとどうなるか
給料を下げられた社員の気持ちは、想像以上に重たいものです。
- 「どうせ自分なんて大事にされていない」
- 「この会社で頑張っても意味がない」
- 「裏切られた」と恨みを持つ
こうした感情は、やがて働く意欲の低下や退職につながります。そして残った社員の信頼まで揺らぎ、会社全体に暗い空気が広がってしまうのです。
さらにトラブルがこじれれば、労働基準監督署や裁判に発展することもあります。感情的な賃下げは、必ず倍になって返ってきます。
賃下げに同意は必須!法律がそう決めている
労働契約法では、こう明記されています。
「労働契約の変更は、労働者と使用者が合意すればできる」
裏を返せば、本人の同意がなければ賃下げはできないということです。
感情的に行えば、法的リスクと信頼喪失の両方を背負うことになります。
※詳細はこちら https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/08.pdf
本当に必要なら「話し合い」が必須
どうしても賃下げが必要な場合は、次の手順を守りましょう。
- 会社の状況を包み隠さず説明する
- 一方的に告げるのではなく、本人の声を聴く
- 同意を得たうえで書面に残す
これを怠ると、あとから「同意していない」と争いになるリスクが高まります。時間も労力もかかりますが、信頼を守りながら決断するには不可欠な手順です。
給料を減らさずに会社を守る方法
私が顧問先で見てきたケースでは、賃下げ以外の道が見つかることも多くあります。
- 社員教育で成果を伸ばす
- 業務の効率化でコストを削減する
- 人事評価の仕組みを見直し、成果と処遇を結びつける
安易に「給料を減らす」という選択肢を取る前に、ぜひ他の方法を検討してみてください。
まとめ
経営者は孤独な決断を迫られることが多いものです。
でも、基本給を一方的に下げることだけは避けてほしいと思います。従業員の生活と信頼を壊してしまうからです。
どうしても必要な場合は、必ず話し合いと合意のプロセスを踏みましょう。きっと、その誠実さが会社を守り、社員を支える力になるはずです。
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。
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