はじめに
「うちの会社は残業代、ちゃんと払っているよ」
そう思っている社長さんほど、実は計算を間違えていることが多いんです。
私の経験上、法律どおりに正しく残業代を計算できている会社はほぼゼロです。
この記事では、難しい条文は抜きにして、
- よくある計算ミス
- どう直すか
- 残業そのものを減らす仕組み
を、現場感覚で解説します。
残業代計算のよくあるズレはこの2つ
- 適当な月平均所定労働時間を使って残業代を計算している。
※年間休日を特定してから労働時間を求めます。 - 基本給のみで残業代を計算している。
※各種手当も含めます(一部除外あり)。
この2つのどちらか(多くは両方)がズレて、残業代全体が歪みます。
放置すると怖い未来が・・
- 労基署の調査 → 数年分まとめて未払い+利息
- 退職者・現社員から突然の請求 → 裁判沙汰・SNSで「ブラック企業」扱い
- 退職→会社を信じていた社員ほど、裏切られた気持ちになる
このように、数字ミスだけではなく、信頼を失うリスクが大きい。
現場でできる即効対応策
- 年間カレンダーを作る
年間休日を決めて、年間労働時間を数値化。これが全ての土台です。 - 時間単価を正しく出す
・含める/除外できる賃金を一覧表に(名称ではなく支給実態で判断)
・計算式・端数処理を就業規則に明記して運用 - 残業ルールの運用(無駄を削る)
(1)「ノー残業デー」で本当に残業が必要かをあぶりだす
(2)「残業許可制」を導入
・申請時に「終了時刻」「業務内容」「残業成果」を記入
・翌営業日に結果を報告
・上司が必ず確認し、育成や業務改善に活かす
※導入企業では残業6割削減の事例も(まずは2~3割落ちれば成功)
細かい計算ルールはこちら → 000501860.pdf
残業がやたら多い人の正体
■あなたの会社には、次のような人はいますか?
- 属人化:その人が休むと回らない/手順が頭の中
- 生活残業:残業前提の働き方が常態化
■対応の流れ
- その人に密着(何に何時間かかっているかの確認)
↓ - 他の人に同じ仕事をやらせて検証
↓ - マニュアル化・標準化で残業削減できたら、その分を処遇に反映
※時間はかかりますが、離職予防と生産性に直結します。
まとめ:3ステップで着手
Step1:年間カレンダーで計算の土台を作る
Step2:時間単価を正しく出す
Step3:ノー残業デー➡許可制で、残業の運用を見直す
最後に
残業計算は、会社の信頼を守る仕組みです。
そして、残業を減らすことは、従業員の健康・定着にも直結します。
「計算を直す」だけで終わらせず、「残業を減らす仕組み」にまで踏み込むことが、会社を強くする近道となります。
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。
状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。
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