「お前の話、要するにこういうことだろ?」その一言が部下を黙らせる

「要するに、こういうことだろ?」

ある日の会議。部下の佐藤が報告を始めました。
「課長、先日のクレーム対応の件なんですけど……」

課長の山田は、途中で遮りました。
「要するに、こういうことだろ? お客さんが怒ってて、謝罪して、今は収まった、と」
「いえ、そうじゃなくて……」

「次、行こう」

佐藤は、黙りました。


3ヶ月後。佐藤は、山田に何も報告しなくなりました。

「佐藤、最近、報告が少ないな」
「……はい」

「何かあったら、ちゃんと報告しろよ」
「……はい」

佐藤は、心の中で思いました。(どうせ最後まで聞いてくれないし)

社労士からの指摘

ある日、社長が社労士に相談しました。
「最近、職場の雰囲気が悪いんです。報連相が不足してて」

社労士は、職場をヒアリングし、こう報告しました。

「原因は、管理職の日常の振る舞いにあります」
「え? 管理職が?」
「はい。多くの職場では、こうしたことが積み重なっています」

  • 報連相が不足している
  • 感謝が言葉にならない
  • 対話がない

「これらが積み重なると、不信感や離職につながります」
「部下は毎日、上司の言葉や態度から、『ここは安全な場所か』を判断しています」
「管理職が部下を雑に扱えば、職場の空気は確実に悪化します」

職場の空気は、管理職がつくる

社労士は続けました。
「逆に、管理職が行動を少し変えるだけで、雰囲気は改善し始めます」
「問題は、多くの管理職がその影響力に気づいていないことです」

社長は、納得しました。

管理職に伝えるべき4つの基本姿勢

社労士は、管理職研修を提案しました。

「管理職に必要なのは、業績管理の技術だけではありません。部下との関わり方を教えることが必要です」

特に重要なのは、次の4つです。


  1. 部下の話を最後まで聴く
    「山田課長は、『要するに、こういうことだろ?』と途中で遮りますよね」
    山田は、ドキッとしました。

    「部下が、何を言いたいかではなく、『何を感じているか』を聴くようにしてください。これだけで、信頼関係は大きく変わります」

  2. 「ありがとう」を日常的に伝える
    「当たり前の仕事でも、感謝を言葉にする習慣をつけてください」
    「『やって当然』は必ず伝わり、部下のモチベーションは下がる一方です」
    「逆に、感謝を言葉にする管理職のもとでは、部下も前向きに働けます」

  3. 間違えたら素直に謝る
    「これができている管理職は、本当に少ないです」
    「部下は、上司の『謝れる姿勢』を見ています」
    「完璧な上司ではなく、誠実な上司を求めています」
    「管理職が謝れる組織では、ミスを隠す文化は生まれにくくなります」

  4. 忙しい時ほど丁寧な言葉を使う
    「余裕がない時こそ、人間性が出ます」
    「忙しさを理由に部下に当たる管理職は、信頼を失います」
    「『忙しくても、態度を変えない』それを貫ける管理職が、部下から信頼されます」

研修の後、山田が変わった

研修の次の会議で、佐藤が報告を始めました。
「課長、先日のクレーム対応の件なんですけど……」

山田は、最後まで聞きました。

「……以上です」
「そうか。佐藤、丁寧に対応してくれてありがとう。お客さん、納得してくれたんだな」

佐藤は、少し驚いた顔をしました。「……はい」

3ヶ月後、職場が変わった

3ヶ月後。佐藤は、また積極的に報告するようになりました。

「課長、この件、報告したいんですけど」
「ああ、聞かせて」

職場の雰囲気も、良くなりました。

まとめ:管理職が変われば、職場は変わる

職場の人間関係は、制度ではなく日々の行動でつくられます。
管理職の態度が変われば、職場の空気は確実に変わります。

管理職に伝えるべき4つの基本姿勢:

  1. 部下の話を最後まで聴く
  2. 「ありがとう」を日常的に伝える
  3. 間違えたら素直に謝る
  4. 忙しい時ほど丁寧な言葉を使う

4つすべてを一度に実践する必要はありません。
まずは一つ、行動を変えてみましょう。
それだけでも、数か月後には職場に変化が見え始めるはずです。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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