孤独な社長。「従順」に見える職場でひそかに起きていること

はじめに:社長は、気づけば一人になります

社長という立場は、孤独です。

会議では誰も反対しない。指示を出せば、表面上はみんな従う。
「問題ありません」「大丈夫です」という言葉が並ぶ。

それなのに、なぜか職場に活気がない。
優秀だった人が、理由をはっきり言わずに辞めていく。

社長に、本音を言ってくれる人は、驚くほど少ない。
それが現実です。

なぜ、誰も本音を言わなくなるのか

社員が黙るのは、怠けているからでも、考えていないからでもありません。

多くの場合、こんな気持ちを抱えています。

  • 言っても、どうせ変わらない
  • 反対したら、評価に響くかもしれない
  • 忙しそうで、話しかけづらい
  • 前に誰かが意見して、うまくいかなかった

つまり、「言わない方が安全だ」と学習しているのです。
その結果、職場は静かになります。

でもそれは、信頼があるからではなく、諦めと距離ができている状態です。

従順さは、信頼の証ではありません

社長から見ると、「特に反発もないし、ついてきてくれている」
そう見えるかもしれません。

しかし、社員側はこう思っていることがあります。

  • 「言われたからやっているだけ」
  • 「本当は違和感がある」
  • 「でも、言わない」

従順さ=信頼ではありません。
むしろ、

  • 反論がない
  • 質問が出ない
  • 意見が増えない

この状態は、心理的安全性が下がっている表れでもあります。

孤独な社長が陥りやすい3つの状態

① 裸の王様になりやすい

誰も指摘しないため、判断のズレに気づきにくくなります。
現場では「おかしい」と感じていても、誰も言わない。
そして、気づいたときには人が減っている。

② 独断が増える

相談相手がいないから、自分で決めるしかなく、ますます周囲との距離が広がります。

③ 誰も止めなくなる

社長の言動を、「社長だから仕方ない」と受け止める空気が生まれます。
これは、会社にとっても、社長本人にとっても危険です。

孤独と向き合うために、今日からできること

1. 「孤独だ」と認めていい

本音を言ってくれる人が少ないのは、社長という立場上、そうなりやすいだけです。

2. 意見を「歓迎する態度」を見せる

  • すぐに否定しない
  • 結論を急がない
  • 「言ってくれてありがとう」と伝える

正しいかどうかより、言ってくれたこと自体を大事にします。
それだけで、空気は少し変わりはじめます。

3. 社外に本音を話せる相手を持つ

社内で孤独なら、社外でいいのです。

  • 同じ立場の経営者
  • 顧問の社労士・税理士
  • 第三者の専門家

社長が弱音を吐ける場所は、必ず必要です。

4. 小さな変化に目を向ける

言葉に出ない本音は、行動に出ます。

  • 表情が硬くなっていないか
  • 会話が減っていないか
  • 休みや遅刻が増えていないか

それは、「社員との距離ができている表れ」です。

まとめ:孤独だからこそ、できる経営がある

社長は孤独です。それは、避けられません。

でも、

  • 孤独を自覚し
  • 耳を傾け
  • 一人で抱え込まず
  • 学び続ける

そうした姿勢は、必ず職場に伝わります。

誰も本音を言ってくれないと感じたときこそ、組織を立て直すチャンスかもしれません。


執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)

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