はじめに
「また文句言ってる…」 「あの人はああいう人だから、仕方ない」
不平不満ばかり言う部下を、そう諦めていませんか?
でも、その「放置」が、組織に取り返しのつかない被害をもたらすとしたら?
放置すると起こる「本当の被害」
不満を言う人を放置すると、こんなことが起こります。
1.やる気のある人が辞めていく
まじめに働いている人ほど、不満ばかり言う人を見てこう思います。
- 「なんで私ばかり頑張らなきゃいけないの?」
- 「文句ばかりで何もしない人と同じ給料なんて…」
※辞めるのは、不満を言う人ではなく、まじめに働いていた人です。
2.不満が伝染し、生産性が落ちる
1人の不満 → 2人が同調 → 職場全体がネガティブに → 報連相が減り、最低限の仕事しかしなくなる
※つまり、「放置」は組織を腐らせます。
前向きに変える3ステップ
ステップ1:まず、1対1で話を聞く
「最近、不満が多いみたいだけど、何か困ってる?」
最初の10分は、ひたすら聞く。反論も、説教も、我慢です。
ポイント:
- 「でも」「だって」を言わない
- 「そうなんだ」と受け止める
- メモを取る(真剣に聞いている姿勢)
ステップ2:不満を「提案」に変える手伝いをする
不満の多くは、言語化できていないだけです。
例:
不満:「この作業、効率悪すぎる」
質問:「どの部分が?どうすれば良くなると思う?」
提案:「この工程をこうすれば、10分短縮できます」
このように不満を整理して、提案に変える手伝いをします。
ステップ3:小さく試して、フィードバックする
「じゃあ来週、この部分だけ試してみよう」
「1週間後、どうだったか教えて」
小さな成功体験が、「言っても無駄」を「言えば変わる」に変えます。
それでも変わらない時は
話を聞いても、指導しても、変わらない場合もあります。
1.次のようなときは、毅然とした対応をします。
- 何度も機会を与えたが、改善の意思がない
- 周囲への悪影響が続く
- 業務に支障が出ている
2.その場合の対応
- 明確に問題を伝える
- 改善の期限を設定する
- それでもダメなら、配置転換や懲戒も視野に
これは「冷たい」のではなく、他の社員を守るための責任です。
まとめ
不平不満を言う部下を、「あの人はああいう人」と放置しないでください。
放置すれば:
- まじめに働く人が辞める
- 不満が伝染する
- 組織が腐る
でも、向き合えば:
- 前向きに変わる可能性がある
- 組織全体の士気が上がる
今日からできること
- 不満を言う人と、1対1で話す時間を作る
- 「何が困ってる?」と聞いてみる
- 小さな改善を一緒に試す
完璧を目指す必要はありません。まず、ひとつだけ試してみてください。
それでも変わらなければ、毅然とした対応を。
でも、その前に「本当に向き合ったか?」を自問してくださいね。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。





