はじめに:意外と見落とされる「歩合給の残業代」
「うちは歩合制だから、残業代は関係ないですよね?」
実は、その考え方、危険です。
歩合給にも、きちんと割増賃金(残業代)を上乗せする必要があります。
知らずに計算を省いていると、「未払い残業代」となり、「労働基準監督署からの是正勧告」や「遡及支払い」の対象になるリスクがあります。
では、具体的に見ていきましょう。
歩合給があるときの基本ルール
残業代の計算は、2つのステップで行います。
①通常の残業代:((基本給+手当)÷月平均所定労働時間)×1.25×残業時間
②歩合給の割増分:(歩合給÷その月の総労働時間(残業等含む))×0.25×残業時間
この2つを合算して支払うのが、正しい計算方法です。
なぜ「0.25倍」なのか?
通常の残業代は「1.25倍」ですが、 歩合給の場合は「0.25倍」だけを追加計算します。
【理由】
歩合給は、すでに「働いた時間すべて」に対して支払われる賃金です。
その中には、残業時間分の「通常賃金(1.0倍)」も含まれています。
したがって、必要なのは上乗せ分=25%の割増部分だけ。
通常の残業代:通常賃金(1.0)+ 割増分(0.25)= 1.25倍
歩合給:通常賃金(1.0)はすでに支払い済み → 割増分(0.25)だけ追加
つまり、歩合給の残業代は、
「すでに支払われている通常分」+「追加で払う0.25倍の割増分」
という考え方になります。
まとめ
歩合給がある場合も、残業代は別途計算が必要です。
基本給+手当の残業代+歩合給の割増分(0.25×残業時間)を合算して支給すれば安心です。
知らないうちに違法計算になっていないか、今一度ご確認ください。
実際の計算方法や就業規則の整備は、社労士にご相談を。
執筆:埼玉県熊谷市の社会保険労務士・竹内由美子(中小企業の人と職場の課題をサポート)
「もしかしてうちの職場も当てはまるかも」と感じたら、早めにご相談ください。状況を整理し、必要に応じて改善策や対応方法をご提案いたします。






