会社を経営していると、労働基準監督署や年金事務所から調査を受けることがあります。
ここでは、どのような調査があるのか、よく指摘される内容や注意点をまとめます。
1.労働基準監督署
定期調査
定期調査は、一部の抜き打ち的な立ち入り調査を除き、ほとんどは事前に通知書が届きます。
令和2年の埼玉の結果は、調査をした事業所の約7割に、何らかの違反があったようです。
違反の多い順は以下の通りでした。
- 労働時間の管理
- 残業代(割増賃金)の計算
- 労働条件の書面での明示
- 安全基準や衛生管理
- 就業規則の届出
- 賃金台帳の整備
- 定期健康診断の実施
法違反があった場合、指定された期日までに改善し、報告書を提出する必要があります。
改善内容によっては、半年ほどで再調査が行われることもあります。
申告調査
申告調査とは、会社に不満を持つ労働者が、労基署に申告したことで始まる調査です。
令和2年の埼玉の結果は、 調査をした事業所の約6割に、何らかの違反があったようです。
違反の多い順は以下の通りでした。
- 賃金不払い
- 解雇
- 最低賃金
- 労働時間等
- 安全衛生等
個人的には、未払い賃金や解雇のトラブルが多い印象です。
労災関係の調査
労災事故が多いと、その原因や対応を確認するために調査が入ります。
労災は生命にかかわりますので厳しくチェックされます。
こういった調査をきっかけに、職場の環境やルールを見直し、
働きやすい職場づくりに活かすことが大切です。
2.年金事務所
年金事務所も定期的に調査を行います。
主な種類は以下の通りです。
算定時調査
毎年の保険料算定のタイミングで行われる確認です。
新規適用後の調査
社会保険に加入した直後に、適正に届出がされているかを確認します。
一般的な調査
不定期に行われる調査で、届出や保険料の納付状況などが対象です。
近年は社会保険料の滞納に対する対応が厳しくなっています。
少しでも不安があれば、早めに相談することをおすすめします。
3.調査でよく指摘される違反例
調査では次のような点が特に見られます。
- 残業代の未払い
- 雇用契約書や労働条件通知書の不備
- 就業規則の届出漏れ
- 健康診断の未実施
- 社会保険の加入漏れ
- 安全衛生の不備
「うちは大丈夫」と思っていても、細かい部分で指摘が入ることが多いのが現実です。
4.調査の通知が来たら
通知が届いたら、まず落ち着いて準備を始めましょう。
- 調査内容を確認
- 必要な書類(労働条件通知書、賃金台帳、就業規則など)を揃える
- 不明点は事前に問い合わせる
- 早めに社労士など専門家に相談する
慌てて対応すると、誤った説明をしてしまったり、余計に問題が大きくなることもあります。
5.早めの準備と専門家への相談が安心です
調査は突然通知が来ることも多く、慌てがちです。
日頃からきちんと労務管理を行い、気になることは早めに対処することで、
トラブルを防ぐことができます。
「これって大丈夫かな?」と少しでも不安を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
専門家が丁寧にサポートいたします。