はじめに
「うまくいく組織にする」シリーズの第5回では、プロジェクトメンバーの選び方と、効果的な改革の進め方について解説しました。
第6回は、組織改革が失敗する最大の落とし穴=“空中分解”のリスクについてお話しします。
改革は紙の上ではシンプル。でも現場は違う
改革のプロセスは、以下のように一見シンプルに見えます。
- トップが本気で会社を良くしようと決意する
- 現場のリアルな課題を見える化する
- 信頼できるメンバーを選定する
- 改善計画を立てる
- 計画を実行し、検証・修正していく
しかし、これは言うほど簡単ではありません。
現場では、さまざまな感情や無意識の抵抗が立ちはだかります。
なぜうまくいかないのか?3つの現実
(1)人はそう簡単には変われない
行動の多くは無意識の習慣に支配されています。
たとえば、家庭内でも「電気のつけっぱなし」「ドアの開けっぱなし」など、何度注意しても繰り返されるように、習慣を変えることは相当の意識と時間が必要です。
(2)変化に対して「不安」「反発」が起こる
・「今のやり方の方が楽」
・「自分の立場が危うくなるのでは?」
・「何のためにやるの?」
このような不安や疑念から、改革に消極的な人や、感情的に反発する人が出てきます。
(3)繁忙期で手が止まり、やる気も下がる
「それどころじゃない!」と、忙しい時期になると改善活動はストップします。
最初はやる気を見せていたメンバーも、だんだんとサボり始めたり、責任を押し付け合ったりと、内部の信頼関係が崩れ出します。
空中分解を防ぐために
改革の過程では、途中で気持ちがバラバラになってしまうことは珍しくありません。
そのまま放置すると、メンバー同士が対立し、プロジェクトが自然消滅(=空中分解)してしまいます。
そうならないために大切なのは、
- トップがぶれずに見守ること
- 改革の目的やビジョンを定期的に確認すること
- 感情的な衝突が起きたら、その都度対話を重ねること
このような地道な「感情のマネジメント」が、改革の成功には欠かせません。
次回予告
次回は、課題を一つ一つ改善していくステップをお伝えいたします。ここから少しずつ組織は変わり始めます。
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